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2024年11月21日

慢性疾患の猫ちゃんで陥りやすい「悪液質」とは?|原因と対策について

「悪液質」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。

人ではがんに伴う悪液質が広く知られていますが、人だけではなく動物さんにも悪液質という状態が起こります。

悪液質とは、何らかの基礎疾患により体重が減少(特に筋肉量が低下)する複合的な代謝疾患です。

猫ちゃんで悪液質を引き起こす代表的な疾患として、

 ○心臓病

 ○腎臓病

 ○甲状腺機能亢進症

 ○がん

などの慢性疾患が挙げられます。

  

がんを例に挙げてみると、がん細胞が炎症性サイトカインを刺激/産生し、これによって

 ◇筋力低下・・・蛋白合成低下/分解促進

 ◇食欲中枢の抑制

 ◇消費エネルギーの増加・・・代謝異常、脂肪分解

などが起こり、結果として体重が減少してしまうのです。

悪液質の作用機序

悪液質の状態が続くとQOLが低下するだけではなく、治療反応が悪くなったり副作用が出やすくなったり、さらには寿命が短くなることが分かっています。

ですので、食欲を改善させて体重(筋肉量)を増やすことが基礎疾患の治療への鍵と言っても過言ではありません。

  

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悪液質の対策は?

悪液質の対策として、食欲改善薬があります。

猫ちゃんで使われる食欲増進薬として、

 ○レメロン・・・有効成分:ミルタザピン

 ○ペリアクチン・・・有効成分:シプロへタジン

がありますが、これらはその名の通り食欲増進作用が主体であり、猫ちゃんでは体重(筋肉量)を増やす作用はありません。

これらの従来の食欲増進薬とは違い、体重(筋肉量)を増やす/維持する作用を持つのが、「エルーラ」というお薬です。

エルーラにはカプロモレリンという有効成分が含まれており、これは食欲ホルモンであるグレリンと同じ働きをします。

具体的な作用としては、

 ①食欲中枢を刺激・・・食欲増進

 ②成長ホルモン分泌・・・体重増加を促す

があり、体重を増加もしくは維持させる効果が証明されています。

エルーラについてはこちらでも紹介しておりますのであわせてご覧ください。

  ⇩⇩⇩

 エルーラ

  

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最後に

なんといっても一番大切なのは定期的な健康診断です。

腎臓病や甲状腺機能亢進症では、「飲水量が増えた」「おしっこの色が薄い」「最近食欲が増したが痩せてきた」「吐く頻度が増えた」などの症状がみられるため、飼い主様は異常に気が付きやすいです。

逆に、心臓病やがんは目立った症状がなく、進行してから気が付くことも少なくありません。

ですので、特に中高齢の猫ちゃんは半年~1年ごとの健康診断をお勧めしています。

当院では簡単な血液検査のみの健診から、エコーやCTを含む健診まで様々行っておりますので、お気軽にお声がけください。

  

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