ご予約はこちら
045-932-5151
2020年3月25日

膝蓋骨脱臼

膝蓋骨脱臼とは、子犬に最も多いとされる先天性疾患であり、その割合は7.2%にも及びます。特に小型犬種に多く発生し、大型犬と比較するとその発生リスクは12倍とも言われています。脱臼の度合いや臨床症状よってグレード1から4までの重症度分類が存在し、それに加えて、年齢・犬種・体重・合併症の有無を考慮し治療法を選択していきます。治療法としては大きく分けて2種類あり、痛み止めやサプリメントを併用した保存療法(内科治療)と、外科的な治療法があります。治療が成功すれば臨床症状の消失が期待できる疾患です。
(伴侶動物治療指針 298-307p 2013.1 緑書房 より)

フレンチ・ブルドッグ 1歳 去勢雄
主訴:散歩中の右後肢の挙上
触診の結果、膝蓋骨脱臼のグレード1~2程度と判断し、疼痛が認められないためサプリメントを使用した保存療法を実施しました。しかし、6週間経過しても右後肢の挙上に改善が認められなかったため、飼い主様と相談し、手術を実施しました。
手術の内容といたしましては、縫工筋・内側広筋離断、滑車溝造溝、関節包縫縮、脛骨粗面転移の4つを実施しました。
※写真は手術中の画像と、ピンによって固定した後のレントゲン写真です。

術後は徐々に臨床症状が改善したものの、手術部位に液体貯留が発生したため、ピンを抜く処置を行いました。その後の経過は良好です。

今回の症例は若齢であり、内科療法による臨床症状の改善が認められないため手術を実施した1例でした。疼痛は出ていなかったものの、年齢を重ねていくと外科的な治療に対する反応が悪くなっていくため、臨床症状が出ている場合は早めの対処が重要であると考えられます。

その他の記事

  • 猫の心筋症:肥大型心筋症(HCM)

    心筋症には4つの代表的な分類が存在します。①肥大型心筋症(HCM)、②拘束型心筋症(RCM)、③拡張型心筋症(DCM)、④不整脈源生右室心筋症(ARVC)の4つに分類されて…

    3年前
  • 犬の脱毛|加齢によるもの?病気?

    わんちゃんも人と同じように、高齢になると毛の色が変化したり薄くなったりします。これは生理的なものですが、中には病的に脱毛が起こってしまうことがあります。 今回は病的な…

    1年前
  • 犬の尿石症について ~症状や治療法について説明します~ 

    尿石症とは?

    尿石症とは、腎臓や尿管、膀胱、尿道などの尿路のいずれかの部位に結石ができる病気です。結石が存在する部位によって、…

    1年前
  • 犬と猫の副腎腫瘍について解説 | よくお水を飲む、尿が薄くて多いは病気の初期症状かも!? ~検査・診断編~

    こちらの記事では副腎腫瘍の症例での必要な検査や診断について解説していきます。 副腎腫瘍では診断するためには様々な検査が必要になってきます。 ぜひ最後までお読みい…

    9か月前
  • 高悪性度消化器型リンパ腫を外科摘出後、抗がん剤を行なった猫

    消化器型リンパ腫は猫のリンパ腫のうち最も多くの割合を占めるものであるのと同時に、猫の消化管において最も発生率の高い腫瘍としても知られています。   症例 猫 雑…

    2年前
  • 犬の胆嚢粘液嚢腫について | 進行してから症状が現れる恐い病気でもあります

    胆嚢粘液嚢腫とは主に犬で多く見られる疾患で、胆嚢という臓器に可動性の乏しい粘液が過剰に溜まることで発症するとされています。一昔前までは稀な疾患とされていましたが、近年では…

    5か月前
  • 犬と猫の副腎腫瘍について解説 | よくお水を飲む、尿が薄くて多いは病気の初期症状かも!? ~治療編~

    こちらの記事では副腎腫瘍の症例での必要な治療について解説していきます。 副腎腫瘍の治療では大きく外科治療と内科治療に大きく分けられます。 それぞれの治療法を解説…

    8か月前
  • 新しい「がん」の血液検査:血中ヌクレオソームの測定

       獣医療の発展に伴いペットの長寿化は進んでいますが、その中でも死因の上位にあげられるのが悪性腫瘍、いわゆる「がん」です。特にワンちゃんの死因では「がん」が第1位に…

    2年前
  • 若い犬や猫に見られる皮膚糸状菌症(真菌感染症)とは?

    皮膚糸状菌症とは、皮膚糸状菌と呼ばれる真菌(カビの仲間)による感染症であり、人にも感染するため人獣共通感染症とされています。猫ちゃんでは原因菌として20種ほどが報告されてい…

    1年前
  • 両側に胸腔ドレーンを設置し救命した膿胸の猫

    救急診療時間内にきた膿胸の猫の一例を紹介いたします。   症例 雑種猫 1歳 避妊メス 数日前から元気がなく今日になって呼吸が苦しそうとのことで来院されました。…

    2年前