2025年10月28日
副腎腫瘍について解説 | よくお水を飲む、尿が薄くて多いは病気の初期症状かも!? ~検査・診断編~
こちらの記事では副腎腫瘍の症例での必要な検査や診断について解説していきます。
副腎腫瘍では診断するためには様々な検査が必要になってきます。
ぜひ最後までお読みいただいて参考にしてください。
必要な検査および診断は?
1. 画像検査
腹部超音波検査
副腎の大きさや形などを把握する検査です。比較的容易な検査であり、腹部超音波検査で副腎腫瘍が見つかることが多いです。副腎腫大が片側の場合は副腎腫瘍、両側の場合は下垂体腫瘍の可能性が高いとされています。
CT検査
麻酔が必要ですが、超音波検査よりも詳細に、副腎の大きさや形、周囲の血管との位置関係や浸潤の有無の判定が可能です。手術計画を立案するうえで必要不可欠な検査であり、造影CT検査は腫瘍の種類の鑑別に役立つ場合があります。



2. 内分泌検査
副腎腫瘍にはホルモンを過剰に産生する機能性腫瘍とホルモンを産生しない非機能性腫瘍があります。それらを鑑別するために内分泌検査が行われます。
ACTH負荷試験、低用量デキサメサゾン抑制試験(LDDST)
コルチゾールの産生異常を評価する血液検査です。数値が高ければ、機能性腫瘍が疑われます。
尿コルチゾール・クレアチニン比(UCC)
血中のコルチゾールの一部は尿に排泄されるため、尿検査でコルチゾール過剰を評価できる場合があります。
高容量デキサメサゾン抑制試験(HDDST)
副腎腫大が下垂体性か副腎性かを判断するために用いられる血液検査です。
※これらの検査は診断に役立つ可能性がありますが、確定診断には組織病理検査が必要です。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
副腎腫瘍についてはこちらのリンクからそれぞれのページに飛べますのでご参考にしてください。
▼ 副腎腫瘍とは?
▼ 治療について
その他の記事
-
角膜疾患(潰瘍性角膜炎)
角膜疾患とは、角膜、いわゆる黒目の部分に起こる疾患を指します。角膜疾患では「目を開けずらそう」「涙や目ヤニの量が多い」「まぶしそうにしている」という症状がよく見られます。 …
2年前 -
「目が見えていないかも…」考えられる原因とは?
犬は人よりも年を取るスピードが速く、7歳を超えるとシニア期に入ります。 年を取れば取るほど病気も増えていきますが、目もその一つです。 「最近物によくぶつかるよう…
1年前
-
副腎腫瘍について解説 | よくお水を飲む、尿が薄くて多いは病気の初期症状かも!? ~症状編~
こちらの記事では副腎腫瘍の症例で良く認められる症状について解説していきます。 副腎腫瘍の性質や種類によって出てくる症状は様々になります。 ぜひ最後までお読みいた…
3週間前 -
全耳道切除・鼓室法切開
慢性外耳炎・中耳炎 慢性外耳炎は、日常の診療でよく遭遇する疾患です。この疾患はどの犬種にも生じますが、特にアメリカン・コッカー・スパニエルやシーズーなど原発性脂漏症…
3年前 -
肝生検
健康診断で『肝臓の数値が高いですね』と言われたことや過去に『黄疸があり大変厳しい病気です』と動物病院で診断されたことはありませんか? 猫ちゃんの肝臓の病気は栄養性、感…
6年前 -
「目が見えていないかも…」考えられる原因とは?
犬は人よりも年を取るスピードが速く、7歳を超えるとシニア期に入ります。 年を取れば取るほど病気も増えていきますが、目もその一つです。 「最近物によくぶつかるよう…
1年前 -
泌尿器科
泌尿器とは泌尿器とは、腎臓、尿管、膀胱、尿道などからなる器官の総称で、血液をろ過して尿を作り、体内の水分や塩分のバランスを調整する働きをします。 高齢になると腎臓…
2年前 -
糖尿病性ケトアシドーシス
糖尿病性ケトアシドーシスとは内科エマージェンシーの1つであり、糖尿病が進行して発症します。発症メカニズムとしては、インスリン不足によりブドウ糖の細胞内への取り込みが減り、代…
6年前 -
犬アトピー性皮膚炎|病態について
アトピー性皮膚炎とは、 「遺伝的素因を有した、痒みを伴うT細胞(炎症細胞の一種)を主体とした炎症性皮膚疾患」 と定義されています。 「遺伝的素因」を有して…
1年前 -
若い犬や猫に見られる皮膚糸状菌症(真菌感染症)とは
皮膚糸状菌症とは、皮膚糸状菌と呼ばれる真菌(カビの仲間)による感染症であり、人にも感染するため人獣共通感染症とされています。猫ちゃんでは原因菌として20種ほどが報告されてい…
5か月前
