ご予約はこちら
受診ご希望、獣医師の方 045-932-5151
企業、法人の方 090-6770-5244
2026年5月18日

右骨盤部分切除および断脚を実施した犬の1例を紹介します

四肢(足)に発生する腫瘍は悪性のものが多く、大型犬の中高齢で特に多く見られ、急速に進行していくのが特徴です。症状としては足の腫れや跛行(びっこ)が主な症状になります。

今回は骨盤と大腿部分に悪性腫瘍ができた症例をご紹介いたします。

📌目次

症例情報

7歳8カ月のシェットランド・シープドッグの男の子です。

以前にレントゲン検査にて右股関節領域の不整があり、びっこを引いていたため、大腿骨頭切除術を実施しました。切除部の病理組織学的検査の結果にて、滑膜粘液肉腫と診断されていた症例です。

検査

右の骨盤および大腿骨に骨融解像が見られ腫瘍性変化が疑われました。

そのため、根治の目的で骨盤部分切除および断脚を実施することとなりました。

実際の手術写真

ここからは実際の手術写真を用いて手術内容を簡潔に載せていきます。

出血も認められるため、血が苦手な方はご遠慮下さい。

苦手な方はこちらから結果のページまで飛びます⇨こちら

病理学的検査結果

病理学的検査の結果は滑膜粘液肉腫と言われる悪性腫瘍でした。

滑膜粘液肉腫は関節包、腱鞘や滑膜に由来する悪性腫瘍であり、人でも比較的若年層での発生が認められる腫瘍です。犬猫では発生が非常に稀な腫瘍なため、粘液肉腫のみのデータはあまりありませんが、一般的な軟部組織肉腫よりも局所再発や転移が多い傾向にあるため術後は注意が必要となります。

まとめ

術後2カ月が経ちましたが、明らかな再発所見や転移所見はなく、良好な経過を辿っています。

びっこを引いている、最近足が付けなくなったなどの症状がある場合は、悪性腫瘍が隠れている可能性もあるため、早めに獣医師さんと相談しましょう。

※他の整形外科症例⇨こちらから


Q&A

Q. 滑膜粘液肉腫はどんな腫瘍ですか?

A. 滑膜粘液肉腫は関節包、腱鞘や滑膜に由来する悪性腫瘍です。

 

Q. 滑膜粘液肉腫の治療は?

A. 症例数は少ないですが、放射線療法、化学療法、外科療法などがあります。

 

Q. 滑膜粘液肉腫の予後は?

A. 悪性度の低い場合は1300日程、悪性度の高い場合は400日程とのデータがありますが、症例数が少なく明確ではないです。

その他の記事

  • 腫瘍科

     獣医療の発展に伴いペットの長寿化が進み、ペットの死因でも悪性腫瘍(ガン)が上位を占めるようになってきました。   犬の平均寿命 14.76 歳、猫の平…

    3年前
  • 肝生検

    健康診断で『肝臓の数値が高いですね』と言われたことや過去に『黄疸があり大変厳しい病気です』と動物病院で診断されたことはありませんか? 猫ちゃんの肝臓の病気は栄養性、感…

    6年前
  • 膝蓋骨脱臼の整復

     膝蓋骨脱臼は小型犬に多い整形疾患です。膝蓋骨が大腿骨の滑車溝から外れてしまうことで膝関節伸展機構が正常に機能せず、膝をうまく伸ばせない状態になってしまいます。典型的な臨床…

    3年前
  • ワクチンによるアナフィラキシーショック

    毎年たくさんのワンちゃんネコちゃんが予防接種のために来院しています。 病原体の病原性を弱めたり無毒化したものをワクチンとして接種することで、 恐ろしい感染症に対…

    2年前
  • 犬や猫だけでなく、ヒトにも感染する”SFTS”について

    SFTS(重症熱性血小板減少症候群)とは、マダニを媒介してヒトや動物に感染するウイルス性の人獣共通感染症です。2013年に初めて国内患者の発生が認められ、西日本を中心に発生…

    2か月前
  • 犬の甲状腺機能低下症について | 元気がないや皮膚症状は甲状腺機能低下症の初期症状かも? ~治療編~

    こちらの記事では甲状腺機能低下症の治療について解説していきます。 正しく適切なホルモン補充療法とモニタリングが行われていれば予後良好なことが多いです。 甲状腺…

    9か月前
  • うっ血性心不全/心原性肺水腫(犬)

      心源性肺水腫とは、僧帽弁閉鎖不全症や肥大型心筋症などの心臓病によって心臓内の血液の鬱滞が悪化する事により、肺に血液中の水が押し出され呼吸困難を生じる二次的な病態で…

    7年前
  • リンパ節生検を実施した犬の小細胞性リンパ腫/慢性リンパ球性白血病(CLL)の症例

     慢性リンパ球性白血病(CLL)は腫瘍化したリンパ系細胞が分化能を有しているために成熟リンパ球が増加する疾患で、腫瘍性病変の原発部位が骨髄である場合は慢性リンパ性白…

    2年前
  • 口腔内腫瘤に対して下顎部分切除を実施した犬の1症例

    犬の口腔内腫瘍には悪性黒色腫、扁平上皮癌、線維肉腫など様々な種類の腫瘍が発生することが報告されています。この中でも、悪性黒色腫は悪性度の高い口腔内腫瘍の中で最も発生率の高…

    3か月前
  • 新しい「がん」の血液検査:血中ヌクレオソームの測定

       獣医療の発展に伴いペットの長寿化は進んでいますが、その中でも死因の上位にあげられるのが悪性腫瘍、いわゆる「がん」です。特にワンちゃんの死因では「がん」が第1位に…

    2年前