ご予約はこちら
受診ご希望、獣医師の方 045-932-5151
企業、法人の方 090-6770-5244
2025年6月5日

犬の瞬膜腺脱出(チェリーアイ)とは? | 実際の手術写真を使って解説

瞬膜腺とは内眼角側にあるT字型の軟骨を支えに存在しています。この瞬膜は眼球の物理的な保護、眼脂の除去、涙を眼球に広げてくれるなどの働きがあり、瞬膜の裏側に存在するのが瞬膜腺で、涙の約30-60%程度を分泌しています。

                   ”伴侶動物の眼科診療” より

 

瞬膜腺脱出とは、この瞬膜腺が正常な位置から逸脱し、瞬膜と角膜の間に露出している状態で、飛び出した組織が赤く腫れあがっている様子が ”さくらんぼ” に似ていることから ”チェリーアイ” とも呼ばれています。脱出することにより角膜などにも障害が出てくる恐れがあります。

原因についてははっきりとは分かっていませんが、瞬膜と眼窩骨周辺組織間の結合組織の脆弱化や環境アレルゲンへの暴露、遺伝的要因などが関係しているとされています。

好発犬種はアメリカン・コッカー・スパニエル、ペキニーズ、短頭種などが報告され、2歳齢までの若齢動物で起こりやすいとされています。

瞬膜腺は露出が持続することで、結膜炎や涙液量減少が起こる場合があるため、放っておくと乾性角結膜炎(KCS)の発症率が上がってきてしまいます。そのため、基本的には外科的整復が必要となってきます。

 

外科的整復については

◇ポケット法

◇アンカー法

の主に2つの手技があります。

 

                     ”犬の治療ガイド2020 私はこうしている” より

 

今回はポケット法にて瞬膜腺脱出を整復した症例をご紹介します。

 

症例情報 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

5歳10ヵ月のミニチュア・ダックスフントの女の子。過去にも瞬膜腺脱出はありましたが、その時は自然に戻ってくれたとのことです。しかし、再度脱出してしまったため手術を実施することになりました。

瞬膜腺脱出(チェリーアイ)による症状

 

手術 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

ここからは実際の手術写真とともに整復法を簡潔に紹介します。

瞬膜腺脱出整復術の実際の手術写真
瞬膜腺脱出整復術の実際の手術写真

 

瞬膜腺脱出整復術の実際の手術写真
瞬膜腺脱出整復術の実際の手術写真

 

術後 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

瞬膜腺脱出(チェリーアイ)整復術の術後

              術後1週間                       術後3週間

術後の顔貌になります。まだ少し充血は残っていますが、瞬膜腺は収まり、涙もきちんと出ています。一定期間は点眼薬を注しながら充血を抑えていきます。

瞬膜腺脱出では外科的整復をした場合でも、再発する可能性があるため注意して経過を見ていきます。

 

※他眼科疾患についてはこちら

その他の記事

  • 「目が見えていないかも…」考えられる原因とは?

    犬は人よりも年を取るスピードが速く、7歳を超えるとシニア期に入ります。 年を取れば取るほど病気も増えていきますが、目もその一つです。 「最近物によくぶつかるよう…

    2年前
  • 侮ってはいけないノミ・ダニ予防について解説 | 痒いだけでは済まない場合もあります

    ノミやダニと聞くと、痒いというイメージを持たれる方が多いと思います。しかし、ノミやダニは痒みを引き起こすだけでなく、わんちゃんや猫ちゃん、さらには人にも様々な病気を引き起こ…

    3年前
  • 犬と猫の副腎腫瘍について解説 | よくお水を飲む、尿が薄くて多いは病気の初期症状かも!? ~検査・診断編~

    こちらの記事では副腎腫瘍の症例での必要な検査や診断について解説していきます。 副腎腫瘍では診断するためには様々な検査が必要になってきます。 ぜひ最後までお読みい…

    12か月前
  • ”麻酔前検査”をお勧めしています

    手術をするにあたって、人の場合と同様に犬ちゃん猫ちゃんにも全身麻酔をかける必要があります。麻酔前検査では、この全身麻酔が安全にかけられるかどうかを評価するための検査となり…

    3年前
  • 犬の股関節脱臼の外科的整復(大腿骨頭切除)

    犬の起こりやすい外科疾患の中に股関節脱臼というものがあります。股関節脱臼は全ての外傷性脱臼の中でも最も発生が多く、全ての年齢に起こり、犬種や性差に関係なく発生します。主…

    2年前
  • 犬と猫の副腎腫瘍について解説 | よくお水を飲む、尿が薄くて多いは病気の初期症状かも!? ~治療編~

    こちらの記事では副腎腫瘍の症例での必要な治療について解説していきます。 副腎腫瘍の治療では大きく外科治療と内科治療に大きく分けられます。 それぞれの治療法を解説…

    12か月前
  • 犬の胆嚢粘液嚢腫について | 進行してから症状が現れる恐い病気でもあります

    胆嚢粘液嚢腫とは主に犬で多く見られる疾患で、胆嚢という臓器に可動性の乏しい粘液が過剰に溜まることで発症するとされています。一昔前までは稀な疾患とされていましたが、近年では…

    8か月前
  • 犬の急性膵炎について解説 | 実は重症化すると命に関わる可能性のある恐ろしい病気です

    ”急にお腹を痛がりだした”、”ぐったりしてなにもご飯をたべない”などの症状が見られることはありませんか?このような症状が見られる場合は急性膵炎の可能性があります。 …

    3週間前
  • 幽門狭窄の症例に対して内視鏡下でポリペクトミーを実施した犬の1例

    ご飯を食べてから時間が経っているのに吐き戻すなんてことはありませんか? 嘔吐という症状はよく認められる症状のひとつなため、どんな疾患でも考えられるものになります。…

    6か月前
  • 犬・猫の去勢手術

    【去勢手術のタイミングは?】 去勢手術をするにあたって、この時期・この年齢に必ず受けないといけないというものはございません。しかし、子犬・子猫ちゃんの場合は、性成熟を…

    3年前