2023年7月18日
当院での避妊手術について、詳しい手術方法を解説します
皆さんが飼われているペットさんは避妊手術・去勢手術はされましたか?今回は当院での避妊手術について紹介したいと思います。
当院での避妊手術は「子宮卵巣摘出術」を採用しており、卵巣だけでなく子宮も摘出します(画像黒線)。卵巣摘出によってホルモン関連性疾患(乳腺腫瘍など)を、子宮摘出によって子宮蓄膿症を予防することができます。

ここからは実際の写真を使って手術の流れをお話ししていきます。
まずは手術直前の様子です。血圧や心拍数、血中の酸素濃度等をしっかりモニタリングしながら手術を行います。

バイタルが安定すれば手術開始です。切皮からですが、皮膚や皮下脂肪の中には意外に多くの血管があるので、ガーゼや超音波メスで止血しながら進めていきます。



お腹の中の臓器を傷つけないように注意しながら子宮を出してきます。子宮は、膀胱の裏に位置しており、お腹の壁と膜(子宮広間膜と呼ばれる)で繋がっているので、この膜を優しく剥がして子宮をお腹の外に出します。


子宮の左右には子宮動静脈という太い血管があり、これを傷つけると大量出血の危険がありますので、子宮を切除する前にしっかりと結紮していきます。



子宮・卵巣を摘出した後、出血がないかもう一度確認して閉腹です。
ここまで、当院の避妊手術の術式についてお話ししました。避妊手術は「予防」に分類されますが、お腹を開ける手術なので、病気の手術と同様に侵襲性は高く慎重な手技が求められます。
また、手術と同じくらい大切なのが麻酔管理です。当院ではその子に合わせたオーダーメイドの麻酔を考え、できる限り安全に手術をしていただけます。
去勢・避妊手術を考えられている方は是非お気軽にお問い合わせください。
その他の記事
-
犬と猫のてんかん発作について | その症状もしかしたら発作ではないですか?
"てんかん"と聞くと、発作が起きて意識を失ったり、バタバタ泳いだりするイメージがありますが、てんかんにも様々な種類があります。中にはてんかん発作だと思っていなかったけど、…
3か月前 -
2024年の春の健康診断まとめ
今年も春の予防シーズンが落ち着き、夏本番が近づいてきていますね。今年は早い時期から猛暑が続いているので、熱中症には十分気をつけて下さい。 ここからは、今年度の4~6月…
2年前
-
犬の乳腺腫瘍
犬の乳腺腫瘍とは、雌犬で一般的に認められる腫瘍であり、雌犬の全腫瘍中52%を占め、約半数が悪性です。臨床徴候としては乳腺内に単一または多発性に結節を認め、悪性の場合は急速…
3年前 -
心タンポナーデ
心タンポナーデとは心膜腔(心臓の外側)に液体(心嚢水)が貯留し、心臓を圧迫することで心臓の動きが制限され、機能不全を起こした状態です。全身に血液を送ることが出来なくなり、…
3年前 -
膝蓋骨脱臼
膝蓋骨脱臼とは、子犬に最も多いとされる先天性疾患であり、その割合は7.2%にも及びます。特に小型犬種に多く発生し、大型犬と比較するとその発生リスクは12倍とも言われています…
6年前 -
副腎皮質機能低下症(アジソン病)について解説 | 最近いつもより元気や食欲がないは病気のサインかも?
最近、” 少し元気がない " や " 食欲がいつもよりない " などの症状が見られることはありませんか? 副腎の病気には機能が下がってしまう、副腎皮質機能低下症(アジ…
7か月前 -
甲状腺腺腫および肺腺癌に対して外科的介入を実施した猫の1症例 | 実際の手術写真を用いて解説
” 最近食欲はあるのに体重は減ってきている ” ” 落ち着きがなくなり、攻撃的になったり、夜中に鳴くようになった ” このような症状が認められることはありま…
4か月前 -
腎瘻チューブの設置により尿管が疎通した腎盂腎炎の症例
腎孟腎炎は腎孟および腎実質の炎症で,原因としてもっともよくみられるのは細菌感染です。 今回は腎盂腎炎に伴い尿管閉塞を起こした猫に対して、経皮的に腎瘻チューブを設置し、…
4年前 -
副腎皮質機能低下症(アジソン病)について解説 | 最近いつもより元気や食欲がないは病気のサインかも?~検査・診断編~
こちらの記事では副腎皮質機能低下症(アジソン病)の症状について解説していきます。 副腎皮質機能低下症(アジソン病)は特徴的な外豹の変化がないため、検査が重要となって…
7か月前 -
右骨盤部分切除および断脚を実施した犬の1例を紹介します
四肢(足)に発生する腫瘍は悪性のものが多く、大型犬の中高齢で特に多く見られ、急速に進行していくのが特徴です。症状としては足の腫れや跛行(びっこ)が主な症状になります。 …
1か月前
