2025年 春の健康診断の結果をまとめました!
こんにちは!春のフィラリア検査・健康診断シーズンが終わり、すっかり真夏の暑さが到来しています。
今年もたくさんのわんちゃん・ねこちゃん達が健康診断のために来院してくれました。
健康診断は隠れた病気を早期発見するきっかけになります。
年に1回でもとても大事な機会であることをお伝えするため、今年もみんなの健康診断結果のまとめをお見せします!
わんちゃん・ねこちゃんそれぞれの総計
今年の健診は イヌ : 400 頭 ネコ : 68 頭 でした!
例年通り、ワンちゃんの健康診断件数はとても多いです。春はちょうどフィラリアの検査と予防開始シーズンで採血に来るわんちゃんがたくさんいるので、自然と健康診断を検討していただきやすいようです。
昨年と比べると、健康診断をして下さる飼い主様がさらに増えています。
ワンちゃんは100件ほど増加し、さらにネコちゃんは昨年よりも2倍近く件数が増えました!
わんちゃんと比べると、ネコちゃんを連れての来院はおっくうになりがちです。
それでも元気なうちに健康診断をする意識が高くなっている飼い主様が増えているようです!
わんちゃん・ねこちゃんの異常値が検出された割合

健康診断の結果を年齢層毎に比較すると、わんちゃん・ねこちゃんに共通して、若いころからでも健康診断に来てくださっている飼い主様がたくさんいらっしゃることがわかります。
一方で、0才~6才よりも年代の幅は狭いとはいえ、7~9才の中年齢のわんちゃん・ねこちゃんは健診の件数が少ないように感じます。特にわんちゃんは7才から異常値があることの方が多くなっており、病気の発見率も高くなってきます。
病気を早期発見する機会のないわんちゃん・ねこちゃんを少しでも少なくするため、来年はより多くの飼い主様に健康診断を周知していただけるようにお声がけをしていこうと思います。
検査項目ごとに異常値が検出された割合

〇ワンちゃんの結果
7才以下でも約半数がなにかしらの異常値が検出されていますが、若い間は脂質や血糖値など、食生活にかかわる項目で異常が多く見つかっています。不適切な食事環境は疾患を誘発することもあります。健康診断をきっかけに食事の変更や、食生活の指導を行うことが良くあります。
7才、10才と、年齢が上がるにつれてALTやASTなどの肝疾患に関わる項目や、BUNやCreなどの腎疾患に関わる項目の異常が検出されることが増えるようです。肝臓や腎臓はどうぶつが生きていくために非常に大切な役割を果たしています。より長く元気に過ごしてもらうには、これらの疾患を早期に発見して、早期にケアを始めることがとても大切なのです。
〇ネコちゃんの結果
ワンちゃんと同じように、年齢が上がるにつれてALTなど、肝疾患の項目の異常が増えています。
ネコちゃんは腎疾患が多いことがよく知られており、当院の健康診断でもSDMAという腎疾患の項目の異常が目立ちます。加えて高齢になると血糖値(Glu)も異常が増えており、糖尿病など、ホルモン疾患を疑う場合も多くなります。
当院では年に一回、健康診断をおすすめしています!
より長く元気でいてもらうために、元気なうちに隠れた病気を見つけることがとても大切です。年に一回、または半年に一回の健康診断をお勧めしています。
高齢になるほど重要な病気が発見されることが多くなります。
今回ご紹介したのは血液検査ですが、もちろん血液検査には異常として表れない病気もとてもたくさんあります。心臓やお腹のエコー検査、レントゲン検査も健康診断として推奨しておりますので、ご興味のある方はお気軽にお尋ねください。
2023年の健康診断はこちら
2024年の健康診断はこちら
その他の記事
-
総合診療科
例えば、嘔吐や下痢が認められれば、何となく消化器が悪いのかな?と考えることができますし、咳をしていれば呼吸器かな?と予測することができます。しかし、「なんかいつもと様子が違…
2年前 -
心室中隔欠損症(VSD)
心臓は、様々な臓器に酸素を供給するために血液を送り出す器官です。 全身に酸素を供給した血液(=酸素が少ない血液。青い部分)を取り込んで、肺で酸素を取り込んだ血液(…
1年前
-
腎瘻チューブの設置により尿管が疎通した腎盂腎炎の症例
腎孟腎炎は腎孟および腎実質の炎症で,原因としてもっともよくみられるのは細菌感染です。 今回は腎盂腎炎に伴い尿管閉塞を起こした猫に対して、経皮的に腎瘻チューブを設置し、…
3年前 -
犬の口臭の裏に潜むリスクとは?|考えられる原因と対策を解説
愛犬の顔に近づいたとき、「いつもより口が臭うかも…」と感じたことはありませんか? こうしたニオイは単なる不快な症状ではなく、犬の体の中で起きている異常を知らせ…
3か月前 -
内視鏡 異物除去
内視鏡症例をご紹介いたします。 果物の種を飲み込んでしまったワンちゃんで内視鏡によって摘出を行いました。 異物、誤食の中で桃の種など果物の種は高確率に腸…
5年前 -
腹腔鏡下肝生検
ワンちゃんやネコちゃんでも健康診断で肝臓の数値が高い子を多くみかけます。一般的には症状がなく、元気そうにみえる子がほとんどですが、重病が隠れていることもあります。 …
1年前 -
若い子に稀に見られる先天性門脈体循環シャントとは? │ 早期発見や実際の治療法について
先天性門脈体循環シャントは主に若齢の犬ちゃんや猫ちゃんで稀に認められる病気です。 この疾患は特異的な臨床症状を示さないこともあり、詳しい検査をしないと見つからないこと…
1週間前 -
高悪性度消化器型リンパ腫を外科摘出後、抗がん剤を行なった猫
消化器型リンパ腫は猫のリンパ腫のうち最も多くの割合を占めるものであるのと同時に、猫の消化管において最も発生率の高い腫瘍としても知られています。 症例 猫 雑…
1年前 -
炎症性腸疾患<IBD>、慢性腸症
炎症性腸疾患<inflammation Bowel disease:IBD>
慢性腸症<chronic entropathy:CE> 小腸または大腸の粘膜固…6年前 -
食道バルーン拡張術にて治療した食道狭窄の猫の1例
食道狭窄とは食道内腔が異常に狭くなることで嚥下障害が生じる病態のことを言います。 主な原因としては、薬物や化学物質による化学的な粘膜傷害、過度な嘔吐や胃酸の逆流(逆流…
7か月前