2022年の健康診断のまとめ
季節が過ぎるのは早いもので、あっという間に新年度を迎えました。
今年もワンちゃんのフィラリアの検査・予防が始まる時期になりました。
当院ではフィラリアの予防を始める前に血液検査を実施し、予防薬を始めるにあたって問題がないかを確認していますが、その際に残った血液を使って健康診断をお勧めしています。「健康診断ってやった方がいいの?」「うちの子は若いけど健康診断する必要がある?」などの疑問を持たれるオーナーさんもいらっしゃると思います。
このページでは前年(2022年)の4月~6月までに来院されて健康診断を実施したワンちゃん、ネコちゃんたちのデータをお見せします。

ワンちゃんはフィラリアの検査とともに健康診断をされる方が多く、280頭のワンちゃんが健康診断を実施されました。猫ちゃんはフィラリアの検査は実施しないので、春に限らず、年間を通して健康診断を実施される方がいらっしゃいました。ちなみに昨年度(2022年4月~2023年3月)に健康診断を実施したネコちゃんは計119頭でした。

ワンちゃんで少なくとも1つ以上の異常値が出た頭数はグラフの通りで、若い子たちでも40%程度で異常が見つかっています。10歳以上の高齢犬では80%ほどで異常値が見つかっています。



若いワンちゃんでも肝臓の数値(ALT)に異常が出ていることが多かったです。高齢になると中性脂肪の異常が増えており、それに伴ってか肝臓や膵臓の異常も多くみられました。

ネコちゃんでは特に高齢になると異常値が出る頭数が多かったです。



高齢のネコちゃんで出ている異常値は腎臓の数値ばかりでした。やはりネコちゃんは腎臓病に気を付けなければなりません。
このように若いワンちゃんでも異常が見つかることがあるため、病気の早期発見・早期治療につながります。春の予防シーズンに一緒に健康診断もしていきましょう。
※正確な検査結果を得るためには8時間程度の絶食が望ましいです。健康診断を希望される方は、朝ごはんを抜いて午前中の来院、もしくは朝ごはんを早めに食べて間食をせずに午後の診療時間にご来院ください。
その他の記事
-
セカンドオピニオン
セカンドオピニオンとは、現在受けている治療や診断に関して第二の意見を求めることを言います。 当院ではセカンドオピニオンで来られた患者さまに対してまず丁寧にお話を聞くこ…
2年前 -
猫の会陰尿道造瘻術
尿石症(腎結石や尿管結石、膀胱結石など)は若い猫ちゃんでも起こる一般的な病気です。猫ちゃんにできやすい結石はストルバイト結石とシュウ酸カルシウムの2種類です。 …
2年前
-
犬アトピー性皮膚炎|治療の2本柱
今回は犬アトピー性皮膚炎の治療方法について詳しくお話していきます。 犬アトピー性皮膚炎の病態についてはこちらで解説しているので合わせてご覧ください。 =====…
3か月前 -
高カルシウム血症
普段血中のカルシウム濃度は厳密に調整されていますが、恒常性が破綻してしまうと高カルシウム血症が生じてしまいます。軽度の高カルシウム血症の場合は無症状のことが多く、偶発的に見…
1年前 -
犬の椎間板ヘルニア
椎間板ヘルニアは、犬において最も遭遇する頻度の高い神経疾患の一つです。椎間板は椎骨間(背骨と背骨の間)の緩衝材として存在しています。この椎間板が変性し、脊髄を圧迫すること…
2年前 -
膝蓋骨脱臼
膝蓋骨脱臼とは、子犬に最も多いとされる先天性疾患であり、その割合は7.2%にも及びます。特に小型犬種に多く発生し、大型犬と比較するとその発生リスクは12倍とも言われています…
5年前 -
低侵襲手術(内視鏡を用いた膀胱結石の摘出)
膀胱結石は犬、猫ともに発生頻度の多い泌尿器疾患です。体質により再発を繰り返すことが多いですが、手術時に細かな結石を取り残してしまうことによって術後早期に膀胱内に結石が確認…
2年前 -
肝生検
健康診断で『肝臓の数値が高いですね』と言われたことや過去に『黄疸があり大変厳しい病気です』と動物病院で診断されたことはありませんか? 猫ちゃんの肝臓の病気は栄養性、感…
5年前 -
猫の盲腸腺癌
猫の体重減少には様々な原因があります。甲状腺機能亢進症や慢性腎不全、糖尿病や腫瘍などが代表的な疾患です。特に、このような病気は急激に体調に変化をもたらすわけではなく、ゆっく…
2年前 -
猫の子宮蓄膿症は若い子でも発症する?原因と治療について。
「子宮蓄膿症」とは、避妊手術をしていない女の子の犬/猫ちゃんの子宮に細菌が感染し、膿が溜まってしまう病気です。 今回は猫の子宮蓄膿症について詳しく解説します。 …
8か月前