2024年の春の健康診断まとめ
今年も春の予防シーズンが落ち着き、夏本番が近づいてきていますね。今年は早い時期から猛暑が続いているので、熱中症には十分気をつけて下さい。
ここからは、今年度の4~6月の春の健康診断のデータを紹介したいと思います。
春の健康診断を受けた頭数(2024年4~6月)

今年は287頭のワンちゃん、30頭の猫ちゃんが健康診断を実施しました。割合としては7歳未満の若いワンちゃん、猫ちゃんが半数以上を占めています。
ワンちゃんは毎年のフィラリア検査をされる方が多く、この検査と一緒に健康診断をする子が多く認められました。対して、猫ちゃんはノミダニ予防と一緒にする子や、持病を持っているため健康診断をするという方が認められました。
ワンちゃんの異常値

ワンちゃんでは7歳未満の若い子でも異常値がある子は45%程度、7歳を超えてくると異常値がある子が60%を越えてきています。
異常値を示した検査項目




ワンちゃんでは肝臓の数値(ALTとALP)に異常が出ていることが多く認められました。高齢になるにつれて腎臓の数値(BunとCre)に異常が出てきています。
猫ちゃんの異常値

猫ちゃんでは、7歳未満の若い子でも異常値がある子が50%を越えています。
異常値を示した項目




猫ちゃんでは血糖値や腎臓に関する異常値が多く認められました。高齢になるにつれて腎機能に関わるCreの異常値が認められるようになっています。
猫ちゃんでは腎疾患が多く認められので、おしっこや飲水量には注意が必要です。
このように、7歳未満の若いワンちゃん、猫ちゃんでも異常値が認められる子は約半数を占めています。病気の早期発見・早期治療のためにも定期的な健康診断はお勧めしております。
※健康診断を実施する場合は正確な検査結果を得るため、8時間以上の絶食での検査が望ましいです。
過去の健康診断まとめはこちら
その他の記事
-
内視鏡で誤食した釣り針を摘出
釣り針を食べてしまったとの事で来院した7カ月のワンちゃん。 X線検査を実施すると胃の中に釣り針が・・・。 釣り針のような尖ったものは…
3年前 -
猫の乳腺腫瘍
猫の乳腺腫瘍は犬の乳腺腫瘍と比較して悪性度が高く、おおよそ80%が悪性の癌であると言われています。雌猫に発生する腫瘍のうち17%が乳腺腫瘍であり、比較的発生率の多い腫瘍で…
10か月前
-
泌尿器科
泌尿器とは泌尿器とは、腎臓、尿管、膀胱、尿道などからなる器官の総称で、血液をろ過して尿を作り、体内の水分や塩分のバランスを調整する働きをします。 高齢になると腎臓…
2年前 -
犬と猫の予防接種の重要性について
愛犬や愛猫の健康を守るために、予防接種はとても大切です。 予防接種は、犬や猫の健康を守るだけでなく人にも影響を及ぼす感染症を防ぐ重要な役割を果たします。 …
8か月前 -
犬の脾臓腫瘍
犬の脾臓腫瘍は中・高齢で好発し、1/3~1/2が悪性とされています。腫瘍破裂や出血により劇症を呈することもあれば、症状が認められない場合も少なくありません。今回紹介…
2年前 -
犬の口腔内無顆粒性悪性黒色腫
犬の口腔内腫瘍には悪性黒色腫、扁平上皮癌、線維肉腫など様々な種類の腫瘍が発生することが報告されています。この中でも悪性黒色腫は口腔内腫瘍の中で最も発生率の高い腫瘍とされ、半…
1年前 -
先天性門脈体循環シャント
先天性門脈体循環シャントは生まれつき血管に異常のある病気です。なんとなく元気がなかったり、成長が悪かったりと特異的な臨床徴候を出さないこともあり、血液検査をしないとわから…
2年前 -
犬の脱毛|加齢によるもの?病気?
わんちゃんも人と同じように、高齢になると毛の色が変化したり薄くなったりします。これは生理的なものですが、中には病的に脱毛が起こってしまうことがあります。 今回は病的な…
6か月前 -
尿石症
尿石症とは、尿路のいずれかの部位で、尿中の溶解性の低い晶質から結石形成に至り、これが停留し成長することによって尿路の炎症・頻尿・乏尿・閉塞などの徴候を引き起こす疾患です。そ…
6年前 -
胆嚢破裂を起こした胆嚢粘液嚢腫の犬
胆嚢粘液嚢腫は犬の代表的な緊急疾患の一つです。以前にも当院で胆嚢摘出術は数例行っておりますが、今回は胆嚢が合破裂し胆嚢内要物が腹腔内に播種した症例をご報告いたします。 …
3年前
