犬と猫の予防接種の重要性について
愛犬や愛猫の健康を守るために、予防接種はとても大切です。
予防接種は、犬や猫の健康を守るだけでなく人にも影響を及ぼす感染症を防ぐ重要な役割を果たします。
なぜ予防が必要なのかを知ることで、より安心して予防接種に臨めるでしょう。
予防接種の目的について
ワクチンとは、病原体の一部を体内に投与し、免疫を作ることで病気に対する抵抗力を高めるものです。
これにより、実際に病原体が体内に入っても、あらかじめ獲得した免疫によって撃退できるようになります。
犬や猫に必要な予防接種は、大きく分けて以下の4つです。
・フィラリア予防(蚊を媒介とする寄生虫対策)
それぞれ詳しく見ていきましょう。
狂犬病ワクチン
狂犬病は、すべての哺乳類に感染するウイルス性疾患で、発症するとほぼ100%死亡する非常に危険な病気です。
感染経路は、狂犬病ウイルスを持つ動物に咬まれることで体内に侵入します。
人にも感染するため、世界中で対策が進められています。
■狂犬病ワクチンの接種義務について
日本では「狂犬病予防法」により、生後91日以上の犬には毎年1回の接種が義務付けられています。
違反すると罰金が科せられることもあるため、必ず接種しましょう。
当院では、狂犬病ワクチンの接種を随時受け付けております🏥 接種をご希望の方は、お早めにご予約ください。
混合ワクチン
混合ワクチンは、犬と猫が感染しやすい病気を予防するためのワクチンです🧪
ワクチンには「コアワクチン」と「ノンコアワクチン」の2種類があり、生活環境やリスクに応じて接種を決定します。
■犬の混合ワクチン
当院では、単味ワクチン、PUPPY DP、5種および7種の混合ワクチンをご用意しています。
コアワクチンとして、以下の病気を予防できます。
・犬ジステンパーウイルス感染症
・犬伝染性肝炎(アデノウイルス1型)
・犬伝染性喉頭気管炎(アデノウイルス2型)
・犬パルボウイルス感染症
一方で、ノンコアワクチンには以下が含まれます。
・犬パラインフルエンザウイルス感染症
・レプトスピラ感染症(カニコーラ型)
・レプトスピラ感染症(イクテロヘモラジー型)
愛犬のライフスタイルや健康状態に応じて、最適なワクチンを選択できますので、獣医師にご相談ください。
■猫の混合ワクチン
当院では、3種および5種の混合ワクチンをご用意しております。
猫の場合、コアワクチンとして以下の感染症を防ぎます。
・猫ウイルス性鼻気管炎(ヘルペスウイルス)
・猫カリシウイルス感染症
・猫汎白血球減少症(猫パルボウイルス感染症)
さらに、ノンコアワクチンには以下が含まれます。
・猫クラミジア感染症
・猫白血病ウイルス感染症
飼育環境や感染リスクに応じて最適なワクチンを選択できますので、ぜひご相談ください。
ノミ・マダニ予防
ノミやマダニは単なる寄生虫ではなく、重篤な病気を媒介する危険な存在です。
特に、マダニは「SFTS(重症熱性血小板減少症候群)」という人にも感染する病気を広めることがあり、注意が必要です。
フィラリア予防
フィラリア症は、蚊によって媒介される寄生虫が心臓や肺に寄生する病気で、放置すると命を落とすこともあります。
予防薬を適切に投与することで予防できるため、通年の予防が大切です。
さいごに
ワクチン接種や寄生虫予防は、愛犬や愛猫の健康を守るために欠かせません。
また、これまで土日のみだった予防診療枠を4~5月は平日の予約枠も拡大しました。
予防シーズンは混雑が予想されますので、事前のご予約をおすすめします。
その他の記事
-
犬の瞬膜腺脱出(チェリーアイ)とは?
瞬膜腺とは内眼角側にあるT字型の軟骨を支えに存在しています。この瞬膜は眼球の物理的な保護、眼脂の除去、涙を眼球に広げてくれるなどの働きがあり、瞬膜の裏側に存在するのが瞬膜腺…
4か月前 -
犬の口臭の裏に潜むリスクとは?|考えられる原因と対策を解説
愛犬の顔に近づいたとき、「いつもより口が臭うかも…」と感じたことはありませんか? こうしたニオイは単なる不快な症状ではなく、犬の体の中で起きている異常を知らせ…
3か月前
-
高カルシウム血症
普段血中のカルシウム濃度は厳密に調整されていますが、恒常性が破綻してしまうと高カルシウム血症が生じてしまいます。軽度の高カルシウム血症の場合は無症状のことが多く、偶発的に見…
1年前 -
腎瘻チューブの設置により尿管が疎通した腎盂腎炎の症例
腎孟腎炎は腎孟および腎実質の炎症で,原因としてもっともよくみられるのは細菌感染です。 今回は腎盂腎炎に伴い尿管閉塞を起こした猫に対して、経皮的に腎瘻チューブを設置し、…
3年前 -
食道バルーン拡張術にて治療した食道狭窄の猫の1例
食道狭窄とは食道内腔が異常に狭くなることで嚥下障害が生じる病態のことを言います。 主な原因としては、薬物や化学物質による化学的な粘膜傷害、過度な嘔吐や胃酸の逆流(逆流…
7か月前 -
内視鏡 異物除去
内視鏡症例をご紹介いたします。 果物の種を飲み込んでしまったワンちゃんで内視鏡によって摘出を行いました。 異物、誤食の中で桃の種など果物の種は高確率に腸…
5年前 -
新しい「がん」の血液検査:血中ヌクレオソームの測定
獣医療の発展に伴いペットの長寿化は進んでいますが、その中でも死因の上位にあげられるのが悪性腫瘍、いわゆる「がん」です。特にワンちゃんの死因では「がん」が第1位に…
11か月前 -
糖尿病性ケトアシドーシス
糖尿病性ケトアシドーシスとは内科エマージェンシーの1つであり、糖尿病が進行して発症します。発症メカニズムとしては、インスリン不足によりブドウ糖の細胞内への取り込みが減り、代…
5年前 -
うっ血性心不全/心原性肺水腫(犬)
心源性肺水腫とは、僧帽弁閉鎖不全症や肥大型心筋症などの心臓病によって心臓内の血液の鬱滞が悪化する事により、肺に血液中の水が押し出され呼吸困難を生じる二次的な病態で…
6年前 -
心タンポナーデ
心タンポナーデとは心膜腔(心臓の外側)に液体(心嚢水)が貯留し、心臓を圧迫することで心臓の動きが制限され、機能不全を起こした状態です。全身に血液を送ることが出来なくなり、…
2年前