そのガーガー音 “気管虚脱” かもしれません
呼吸をするときに ” ガーガー ” とガチョウが鳴くような異常な呼吸音がする時はありませんか?その異常な呼吸はもしかしたら気管虚脱かもしれません。気管虚脱は特に小型犬に多く見られる呼吸器の病気で、気管の通り道が潰れることによって呼吸がしづらくなる状態になります。
今回はこの気管虚脱について解説していきます。もしかしてと思った飼い主様はぜひ一読ください。

📌目次

気管虚脱とは?
気管とは、喉から肺へと繋がる大きな管で、空気の通り道となっています。この気管は複数の軟骨でできており、ほとんど同じの円筒形をしています。しかし、この気管の通り道が何らかの原因により軟骨が柔らかくなり、気管が潰れてしまう病気を気管虚脱と言います。潰れ具合によってグレードが4つに分かれ重症度も変わってきます。グレードが進むとともに呼吸も苦しくなり、呼吸困難やチアノーゼといった致死的な状態になることもあります。

よく見られる症状について
気管虚脱は、気管がつぶれやすくなる病気です。ガーガーという特徴的な咳がみられ、咳は興奮時や運動後、首輪などで首を圧迫されると咳が出やすいです。進行すると、呼吸困難やチアノーゼ、失神することがあり命に関わる場合もあります。

気管虚脱の原因とは?
気管虚脱は気管を支える軟骨が弱くなることで発症します。ポメラニアンやトイ・プードルで好発し、原因は遺伝性、栄養性、神経性、炎症性などが考えれらていますが不明です。短頭種気道症候群や喉頭疾患などの上気道疾患があると、気道内の陰圧が高くなり気管虚脱を併発したり症状が悪化しやすくなります。また、肥満や慢性的な咳、興奮、首への圧迫などは症状を悪化させる要因となります。



検査および診断について
問診・身体検査
問診や身体検査にて以下を確認します。
・ 症状の発現時期、進行状況
・ 咳の性質
・ 運動時や興奮時の呼吸状態
・ 呼吸音の確認
・ 触診による気管の感触確認
レントゲン検査
気管虚脱の診断において最も重要な検査がレントゲン検査です。
・ 吸気時・呼気時の撮影: 吸気時と呼気時の気管の太さの比較、 病変部位の特定
・ 側面像での評価: 気管の扁平化の程度を測定
・ 動的な変化の観察: 呼吸に伴う気管の動きを確認

追加検査
レントゲン検査で診断が困難な場合や、より詳細な評価が必要な際は以下の検査を行う場合があります。
・ 透視検査: リアルタイムでの気管の動きを観察
・ 気管支鏡検査: 内視鏡による気管内部の直接観察
・ CT検査: 立体的な気管の形状評価

<診断の確定>
これらの検査結果を総合的に評価し、気管虚脱の診断とグレード分類を行います。

・ グレード1(軽度):軟骨の変形がわずかで、気管の潰れも限定的です。咳は軽く、運動や興奮時に限定されることが多いです。
・ グレード2(中等度):気管がさらに潰れ、呼吸時にゼーゼーという音が増加。日常的な咳や軽い呼吸困難が見られるようになります。
・ グレード3(重度):気管の約75%が潰れた状態で、慢性的な咳や酸素不足の症状(舌の変色、運動を嫌がるなど)が見られます。
・ グレード4(最重度):気管のほとんどが潰れ、呼吸困難や失神、危険なレベルの酸欠状態を引き起こすことがあります。緊急対応が必要です。

治療法について
治療法については大きく、内科治療と外科治療の2つがあります。
【原発性気管虚脱】

①内科的治療
グレードⅠ~Ⅲにおいては体重管理や抗炎症治療で経過良好です。急性の気道感染による気管虚脱では、原因菌を同定した上で適切な抗菌薬を使用します。
②外科的治療
グレードⅣに対しては気管内ステントや気管外プロテーゼといった外科的矯正器具を用いた手術が検討されます。


【動的頸部気管虚脱】

①内科的治療
基本的には、喉頭気道閉塞症候群、喉頭麻痺、短頭種気道症候群などといった随伴気道肺疾患に対する治療を行います。また、急性喉頭炎などの感染症では菌を同定した上で適切な抗菌薬を使用します。
②外科的治療
原発性気管虚脱とは異なり、気管軟骨の扁平化は認められないため気管内ステントや気管外プロテーゼを用いた外科的治療は適応外となります。
予後については詳細は報告がまだまだ少ないが適切にコントロールができれば長期的な予後は良好とされています。

まとめ
気管虚脱はよく見られる病気の一つですが、薬で完治することが難しく、徐々に進行になります。そのため、早期発見や進行しないための予防が重要となります。日頃から呼吸の状態や咳をしていないかどうかなどを気にかけ、少しでも気になる症状があればお近くの動物病院に相談しましょう。
※他の呼吸器疾患について⇨こちらから

Q&A
Q. 気管虚脱になるとどのような症状が出ますか?
A. ガチョウの鳴き声のような” ガーガー “といった呼吸音や咳が特徴的です。進行するとチアノーゼや呼吸困難といった症状にも繋がる場合があります。
Q. 気管虚脱の原因は何ですか?
A. 気管虚脱は気管を支える軟骨が弱くなることで発症します。ポメラニアンやトイ・プードルなど小型犬で好発し、遺伝性、栄養性、神経性、炎症性などの原因が考えれらていますが完全には解明されていません。
Q. 自然に治ることはありますか?
A. 気管虚脱は軟骨の変形により起こる病気のため、進行していくことはありますが、自然に治ることはありません。
Q.どのような治療をしますか?
A. 気管虚脱の原因や種類にもよりますが、大きくは内科的治療と外科的治療が存在します。
Q. 自宅でできるケアはありますか?
A. 肥満にならないように適正体重を維持する、過度な興奮をさける、首輪を使用している場合はハーネスに変更するなどが対策としてはあります。
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