ご予約はこちら
045-932-5151
2024年7月12日

両側に胸腔ドレーンを設置し救命した膿胸の猫

救急診療時間内にきた膿胸の猫の一例を紹介いたします。

 

症例 雑種猫 1歳 避妊メス 数日前から元気がなく今日になって呼吸が苦しそうとのことで来院されました。体温40.4℃  努力性呼吸 SpO2:100%  血圧微弱

 

Fast:異常なし

T-Fast:心臓周囲に濁りのある胸水(動画)を認めました

T-fast 濁りのある胸水貯留

胸腔穿刺にて得た液体は濁りのある黄白色を呈しており、性状検査では滲出液で変性した好中球を多数認めました。Grum染色でも明らかな菌体は認められませんでしたが、好気及び嫌気培養検査を外注検査にて提出しました。

全血球計算では変性性左方移動(総WBCの上昇を伴わない桿状核好中球の出現及び好中球の中毒性変化)を認めました。

診断:膿胸(SIRSを伴う) 

MILA chest tube 14Fr を鎮静下にて両側に設置

第2病日の夜には自力摂食が可能になりました。呼吸数、発熱はまだ認められたため胸腔ドレーンを介して生理食塩水で洗浄を行いました。4日目には発熱もおさまり呼吸数も落ち着き、7日目にはドレーンからの廃液も認められなくなりました。廃液量が減るにつれて白血球の左方移動も改善が認められました。白血球の正常化が認められたため胸腔ドレーン抜去を行いました。

 

細菌培養の結果は好気性菌は陰性、嫌気性培養検査ではFusabacterium 属が認められました。ドレーン抜去後無事退院し、現在のところ再発もなく元気に過ごしてくれてます!!

膿胸は正しい治療がなされても死亡率62%と致死率の高い疾患で原因がはっきりとしないことが少なくありません。今回は飼い主様の同意も早く、より早期から胸腔ドレーンを設置できたことが救命の鍵だったと感じています!

その他の記事

  • 犬の乳腺腫瘍

     犬の乳腺腫瘍とは、雌犬で一般的に認められる腫瘍であり、雌犬の全腫瘍中52%を占め、約半数が悪性です。臨床徴候としては乳腺内に単一または多発性に結節を認め、悪性の場合は急速…

    2年前
  • 高悪性度消化器型リンパ腫を外科摘出後、抗がん剤を行なった猫

    消化器型リンパ腫は猫のリンパ腫のうち最も多くの割合を占めるものであるのと同時に、猫の消化管において最も発生率の高い腫瘍としても知られています。   症例 猫 雑…

    1年前
  • 犬アトピー性皮膚炎|病態について

    アトピー性皮膚炎とは、 「遺伝的素因を有した、痒みを伴うT細胞(炎症細胞の一種)を主体とした炎症性皮膚疾患」 と定義されています。 「遺伝的素因」を有して…

    1年前
  • 胆嚢摘出術および総胆管ステント設置を実施した犬の1例

    胆嚢粘液嚢腫とは、胆嚢内に可動性の乏しい胆汁由来の粘液状物質が過剰に貯留した状態です。この粘液状物質が過剰に貯留してしまうと胆嚢拡張を起こしたり、胆汁の流れ出る通り道である…

    6か月前
  • 犬の脾臓腫瘍

    犬の脾臓腫瘍は中・高齢で好発し、1/3~1/2が悪性とされています。腫瘍破裂や出血により劇症を呈することもあれば、症状が認められない場合も少なくありません。今回紹介…

    3年前
  • 犬の椎間板ヘルニア

     椎間板ヘルニアは、犬において最も遭遇する頻度の高い神経疾患の一つです。椎間板は椎骨間(背骨と背骨の間)の緩衝材として存在しています。この椎間板が変性し、脊髄を圧迫すること…

    2年前
  • ネコちゃんに多い内分泌疾患 甲状腺機能亢進症

    甲状腺は喉にあり、甲状腺ホルモンを分泌します。甲状腺から異常にホルモンが分泌されてしまう病気を甲状腺機能亢進症と言います。   診断するにはそれほど複雑…

    11か月前
  • 慢性腸症

      慢性腸症の定義   『対症療法に抵抗性または再発性で3週間以上続く慢性の消化器症状を呈し、一般的な血液検査や画像検査で原因の特定には至らない、原因不明…

    2年前
  • 狂犬病予防

    ”狂犬病予防接種”、皆さんは毎年きちんと接種されていますか?どうして毎年接種しないといけないの?接種の必要はあるの?と思う方もいるかもしれません。狂犬病は皆さんが思…

    3年前
  • 若い犬や猫に見られる皮膚糸状菌症(真菌感染症)とは

    皮膚糸状菌症とは、皮膚糸状菌と呼ばれる真菌(カビの仲間)による感染症であり、人にも感染するため人獣共通感染症とされています。猫ちゃんでは原因菌として20種ほどが報告されてい…

    7か月前