ご予約はこちら
045-932-5151
2023年7月30日

呼吸器科

 

『当院では、様々な呼吸器疾患に対し質の高い診断や治療が可能にするために血液検査機器、血液ガス検査機器、胸部レントゲン検査、気管支鏡検査、ICU(集中治療室)、およびネブライザーなど様々な検査機器や治療機器を取りそろえております。当院では、呼吸器疾患には特に力を入れて診察しております。』

  

呼吸器疾患とは鼻(鼻腔)をはじめ喉、気管、気管支や肺に生じる病気の総称です。くしゃみや鼻水、咳や異常呼吸音(ヒューヒュー、ゼエゼエ)、呼吸困難などの症状が認められた場合は第一に呼吸器疾患を疑います。特に呼吸が苦しそうという症状は命に関わる状態でありすぐに治療が必要になるため的確な判断と治療が求められます。呼吸器診療の流れを以下に記載いたしました。

 

〜問診・身体検査〜

 

いつからその症状が始まったのか、安静時の呼吸の状態や呼吸回数、食欲や活動性など環境にも目を向け詳しくお話を聞かせていただきます。問診に加えて視診、聴診、触診など詳細な身体検査を行い、必要な検査項目をご提案いたします。

 

〜検査〜

 

全血球計算、血液生化学検査や、血液ガス検査、酸素飽和の測定など非侵襲的な検査を行い呼吸機能や体に生じている異変の概要を把握いたします。血液ガス検査は呼吸能力や酸塩基平衡を評価するためには特に重要であり、当検査で呼吸器の状態(どれくらいの酸素を取り込めているか、どれくらいの二酸化炭素を排出できているかなど)を理解します。下記に記載した麻酔下検査を行う上でも重要な検査となります。

 

    血液生化学検査
      全血球計算
    血液ガス検査

またレントゲン検査やエコー検査など画像検査を用い、喉や気管気管支、肺の異常陰影などのがないか確認いたします。症状がない動物においても健康診断にて気管気管支や肺に異常が見つかることも少なくないため、画像診断は定期的に行うことをお勧めしています。

 

  レントゲン撮影機
  超音波検査機器

 

上記検査などで治療方針が決定しない場合や、治療反応が乏しい場合はさらに詳細な検査が必要になります。その場合、気管支鏡検査やCT検査(導入予定)、および組織生検を行うことで診断を行います。これらの検査は原則麻酔が必要になるため、麻酔前の評価が特に重要になります。

 

気管支鏡検査時に使用する
   ラリンンゲルマスク
        気管支鏡
  マルチスライスCT検査

実際の気管支鏡検査の動画

 *フルバージョンはこちら

〜治療〜

 

急性呼吸困難

 

ALI(急性肺障害)やARDS(急性呼吸窮迫症候群)や胸腔内液体貯留などで酸素が取り込めない状態陥っている場合は高濃度酸素療法や人工呼吸管理が必要になります。一刻を争う状態ですのでまずは緊急治療を行い患者さんの状態の安定化を図ります。また酸素が取り込めないだけでなく二酸化炭素が吐き出せない状態においても緊急治療が必要になることがあり、両者は呼吸様式や血液ガス検査にて判断することができます。

       ICU
      人工呼吸器

慢性呼吸器疾患

 

咳やレッチング、くしゃみ鼻水をはじめ慢性呼吸器疾患の治療は可能な限り診断に基づいて行います。内科治療には投薬治療はもちろん、ネブライザー治療や在宅酸素療法もご用意させていたいております。猫ちゃんではAero Catというストレスを与えない特殊な吸入治療もご用意しております。

AERO Cat
  コンプレッサー式
   ネブライザー 

呼吸器疾患における外科手術

 

外科的な治療では短頭種気道症候群における軟口蓋切除術や、外鼻腔拡張術、また原発性気管虚脱(Grade 4)の手術や肺葉切除なども当院で行なっております。

 

 

呼吸器診療は急性か慢性かによってアプローチの仕方が大きく変わります。当院では必要であれば人工呼吸管理も行なっており救急救命治療にも力を入れています。咳が治らない、呼吸が苦しそうだが原因がわからない、胸のレントゲンに異常があると言われたなどお悩みのことがあればいつでもお問い合わせください。

その他の記事

  • 腹腔鏡補助下で実施した潜在精巣摘出術

     潜在精巣とは片側または両側の精巣が陰嚢内に下降していない状態をいいます。ビーグルや雑種犬における精巣下行のタイミングは生後30~40日と言われており、2ヶ月齢の時点で精巣…

    4か月前
  • 先天性門脈体循環シャント

     先天性門脈体循環シャントは生まれつき血管に異常のある病気です。なんとなく元気がなかったり、成長が悪かったりと特異的な臨床徴候を出さないこともあり、血液検査をしないとわから…

    10か月前
  • 猫の会陰尿道造瘻術

     尿石症(腎結石や尿管結石、膀胱結石など)は若い猫ちゃんでも起こる一般的な病気です。猫ちゃんにできやすい結石はストルバイト結石とシュウ酸カルシウムの2種類です。   …

    1年前
  • 2022年の健康診断のまとめ

    季節が過ぎるのは早いもので、あっという間に新年度を迎えました。 今年もワンちゃんのフィラリアの検査・予防が始まる時期になりました。 当院ではフィラリアの予防を始…

    2年前
  • 循環器科

    循環器疾患とは血液を全身に循環させる臓器(心臓や血管など)が正常に働かなくなる疾患のことです。代表的な疾患としては、心臓病(弁膜症、心筋症)、高血圧、脳血管障害などがありま…

    1年前
  • 犬の脾臓腫瘍

    犬の脾臓腫瘍は中・高齢で好発し、1/3~1/2が悪性とされています。腫瘍破裂や出血により劇症を呈することもあれば、症状が認められない場合も少なくありません。今回紹介…

    2年前
  • 慢性疾患の猫ちゃんで陥りやすい「悪液質」とは?|原因と対策について

    「悪液質」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。 人ではがんに伴う悪液質が広く知られていますが、人だけではなく動物さんにも悪液質という状態が起こります。 悪液…

    2週間前
  • 肥満細胞腫

    肥満細胞腫は、犬の皮膚腫瘍のうち20%前後を占めるため、犬の腫瘍では遭遇することの多い疾患にあたります。主にしこりの付近のリンパ節、続いて肝臓、脾臓へ転移することも多いため…

    2年前
  • 慢性腸症

      慢性腸症の定義   『対症療法に抵抗性または再発性で3週間以上続く慢性の消化器症状を呈し、一般的な血液検査や画像検査で原因の特定には至らない、原因不明…

    1年前
  • 短頭種気道症候群

    短頭種気道症候群とは多くが先天性で、パグやフレンチブルドッグなど短頭種に生じる疾患の総称です。外鼻腔狭窄、軟口蓋過長症、気管低形成を先天的に生じ、持続的な気道抵抗の増加によ…

    1年前