ご予約はこちら
045-932-5151
2023年8月6日

循環器科

循環器疾患とは血液を全身に循環させる臓器(心臓や血管など)が正常に働かなくなる疾患のことです。代表的な疾患としては、心臓病(弁膜症、心筋症)、高血圧、脳血管障害などがあります。獣医療で特に多いのが『犬の弁膜症』『猫の心筋症』です。当院ではいち早くこの心臓疾患を発見し、飼い主様にお伝できるように通常の診療においても聴診をしっかり行うようにしています。

 

必ず聴診をしよう👂

 

弁膜症や心筋症は主に水面下で病状だけが進行していき、症状が出た時には末期になっていることが多く早期発見早期治療が求められます。そこで特に重要となるのは『聴診』です。通院患者さんはもちろん、入院やホテル、トリミングで来院されたわんちゃんねこちゃんの聴診はまめに行っております。獣医師はもちろん、看護師も全員自前の聴診器を持っており、医療スタッフが聴診をこまめに行うことで心雑音を確認し、早い段階で飼い主様にお伝えできる様にしています。

 

  医療スタッフの聴診器
  実際に聴診している様子

◇心臓検診をお勧めしています

 心雑音を発見したあとも、その雑音が有害性雑音なのか無害性雑音なのかはしっかりとした検査を行わないとわかりません。そのためには心エコー検査や胸部レントゲン検査を行う必要があります。また、ねこちゃんの心筋症は聴診で発見できる割合は 約20%と特に低く、そのためにも心臓検診として画像検査が重要です。そこで当院では聴診だけではなく、心臓検診も常日頃からお勧めしています。

 

主に心臓検診で行うものは『心エコー図検査』になります。

 

   arietta60(HITACHI)
心エコー図検査用マット

もちろん麻酔は必要ありません。大抵の子は大人しく検査を受け入れてくれます。たまに少し嫌がる子もいますがチュールやおやつを使用し、無理に押さえつけないように工夫して検査を行います。ほとんどの心疾患が心エコー図検査で診断がつきます。下の2つの動画は当院で実際に検査した犬の僧帽弁閉鎖不全症のエコー動画と猫の肥大型心筋症のエコー動画です。

実際の心エコー図検査の動画①(犬:僧帽弁閉鎖不全症)

実際の心エコー図検査の動画②(猫:肥大型心筋症)

 

こうして心エコー図検査で診断をつけたのちに、胸部レントゲン検査や血圧測定、心電図検査、血液検査を実施し治療方針を立てていきます。

    血圧計 vet 30
心電図計 FUKUDA M/E D800

様々な検査を行い、病態を把握したうえで飼い主様にインフォームドコンセントを行っていきます。飼い主にお伝えする際に当院で気を付けている事は【しっかりと納得した上で治療にを行っていただく】という事です。心臓病で内科治療を行う際には、永続的に投薬が必要になることがほとんどです。特に、症状のない状態からお薬を飲むとなると、『本当に必要な薬なのか、費用はいくらくらいかかるのか』等不安になる方もいらっしゃいます。そういった説明を口頭のみでお伝えするのでなく、インフォームドコンセント用の紙を作成しお渡しするようにしています。

  実際のインフォーム用紙

 

◇循環器おいては緊急救命治療にも対応しております

 

当院では、慢性期の心疾患にはもちろん、肺水腫や動脈血栓塞栓症(ATE)、心タンポナーデ等の急性期の治療にも対応しております。そういった急性期の救命治療では迅速な対応が求められるため、熟練した獣医師が対応させていただきます。呼吸が荒い、立ち上がれない、、突然倒れてします等の症状が認められた場合はご相談ください。

実際の症例は『犬の僧帽弁閉鎖不全症』や『猫の肥大型心筋症』のコラムをご覧ください

 

その他の記事

  • 副腎腫瘍

    副腎腫瘍にはいくつか分類があり、その由来として副腎皮質由来か副腎髄質由来かで分けられ、ホルモンを実際に産生・分泌するかどうかで機能性のものと非機能性のものに分けられます。副…

    5年前
  • 犬の外傷性股関節脱臼

    犬の起こりやすい外科疾患の中に股関節脱臼というものがあります。股関節脱臼は全ての外傷性脱臼の中でも最も発生が多く、全ての年齢に起こり、犬種や性差に関係なく発生します。主に…

    7か月前
  • 紐状異物

    紐状異物は危険な異物の一つで、特に猫に多く見られます。 消化管は食べ物を消化・吸収するために蠕動運動をしています。紐によって手繰り寄せられた消化管は、蠕動運動によって…

    2年前
  • 消化器科

    『消化器疾患』吐出、嘔吐や下痢、食欲不振や体重減少などが認められたら消化器疾患を考えます。消化器とは、口、のど、食道、胃、小腸(十二指腸・空腸・回腸)、大腸、肛門まで続く消…

    2年前
  • 胆泥症・胆嚢粘液嚢腫

     胆嚢とは、肝臓で作られた胆汁の貯留を行う臓器で、方形葉と内側右葉に埋まるように位置しています。胆嚢から発生する疾患には胆石、胆泥、胆嚢粘液嚢腫および胆嚢炎などがあります。…

    3年前
  • 犬の脾臓腫瘍

    犬の脾臓腫瘍は中・高齢で好発し、1/3~1/2が悪性とされています。腫瘍破裂や出血により劇症を呈することもあれば、症状が認められない場合も少なくありません。今回紹介…

    2年前
  • 腹腔鏡下避妊手術

    開腹手術では上からの視点のみで、傷口を大きく開かない限り腹腔内をよく観察することは難しいです。 胆嚢や肝臓 膀胱 …

    10か月前
  • 犬・猫の避妊・去勢手術におけるメリット・デメリット

    新しい家族を迎えた時、避妊・去勢手術の実施を考える方は多いかと思います。 みんな手術をしているから家の子もやっておこうといった考えではなく、大切な家族のために手術には…

    1年前
  • 副腎腫瘍・副腎腺腫摘出

    副腎腫瘍は当院で手術が可能な腫瘍です。この腫瘍はその特性上   ①腫瘍の分類 ②副腎皮質機能亢進症の有無 ③血管への浸潤や位置関係   …

    1年前
  • 狂犬病予防

    ”狂犬病予防接種”、皆さんは毎年きちんと接種されていますか?どうして毎年接種しないといけないの?接種の必要はあるの?と思う方もいるかもしれません。狂犬病は皆さんが思…

    2年前