ご予約はこちら
受診ご希望、獣医師の方 045-932-5151
企業、法人の方 090-6770-5244
2024年3月23日

副腎腫瘍・副腎腺腫摘出

副腎腫瘍は当院で手術が可能な腫瘍です。この腫瘍はその特性上

 

①腫瘍の分類

②副腎皮質機能亢進症の有無

③血管への浸潤や位置関係

 

など考慮すべき点の多い腫瘍です。

 

①、②に対してはホルモン検査や、エコーレベルなどである程度の判断を下すことができますが、③に関してはCT検査が必須です。本症例は他院でクッシング症候群と診断されておりましたがセカンドオピニオンで来院され、エコー検査にて左副腎腫瘍を確認し当院でCT検査、手術を行った症例です。

 

マルチーズ  避妊メス

 

来院時、多飲多尿、多食、腹部膨満、パンティングを認めました。服用していたアドレスタンは正常な副腎への影響を考慮し休薬しました。

 

CT検査

 

 

CT検査では左腎臓に接している副腎腫瘍を確認しました(左図)。また副腎腫瘍の尾側後極が腎静脈に接していることが確認できます(右図)。

 

この時点では腎静脈内に明らかな欠損像が認められないため血管内浸潤はないと判断しました。

 

手術

 

実際の手術の写真です。開腹した直後に腫大した副腎を認めました。案の定腎静脈や後大静脈に接しており剥離には手間がかかりました。横隔副静脈は副腎腫瘍の中に埋まるように存在していたためそれらの血管に留意しながら各所から慎重に剥離していきます。

 

 

副腎腫瘍には何重もの細い血管が各方面から入っていくため、剥離には主にバイポーラを使用し剥離しました。

比較的太めの血管にはヘモクリップやソニックビートを使用し摘出しました。

 

摘出した副腎腫瘍

 

本症例は病理検査の結果、副腎腺腫と診断されました。

 

こういった副腎腫瘍や癌の手術の際にはCT検査が有用です。腫瘍の大きさ、広がり、血管への浸潤、転移などを正確に把握する事ができます。それにより、入念な手術プランの構築に役立ち手術の成功率を上げます。また病態を『可視化』することでチーム内にも情報を共有することが可能になります。

 

こういった診断、治療のフローを当院では一貫させることができるのが当院の強みです。

その他の記事

  • 犬の股関節脱臼の外科的整復(大腿骨頭切除)

    犬の起こりやすい外科疾患の中に股関節脱臼というものがあります。股関節脱臼は全ての外傷性脱臼の中でも最も発生が多く、全ての年齢に起こり、犬種や性差に関係なく発生します。主…

    2年前
  • 腫瘍科

     獣医療の発展に伴いペットの長寿化が進み、ペットの死因でも悪性腫瘍(ガン)が上位を占めるようになってきました。   犬の平均寿命 14.76 歳、猫の平…

    3年前
  • 膝蓋骨脱臼の整復

     膝蓋骨脱臼は小型犬に多い整形疾患です。膝蓋骨が大腿骨の滑車溝から外れてしまうことで膝関節伸展機構が正常に機能せず、膝をうまく伸ばせない状態になってしまいます。典型的な臨床…

    3年前
  • 腹腔鏡下にてシャント血管結紮術を実施した犬の1例

    先天性門脈体循環シャントとは、主に若齢の犬や猫で稀に認められる病気です。名前の通り先天的(生まれつき)な病気で、肝臓に流入する血管(門脈)と全身循環(静脈)の間に異常な血…

    1か月前
  • 犬と猫の慢性腎臓病(CKD)について解説 | 多尿や体重減少は慢性腎臓病の初期症状かもしれません!

    最近 "おしっこの量が増えた" や "体重が減ってきた" などが認められることはありませんか? もしかしたら、それは慢性腎臓病の初期症状かもしれません。 慢性…

    9か月前
  • 犬・猫の避妊・去勢手術におけるメリット・デメリット

    新しい家族を迎えた時、避妊・去勢手術の実施を考える方は多いかと思います。 みんな手術をしているから家の子もやっておこうといった考えではなく、大切な家族のために手術には…

    3年前
  • 角膜疾患(潰瘍性角膜炎)

    角膜疾患とは、角膜、いわゆる黒目の部分に起こる疾患を指します。角膜疾患では「目を開けずらそう」「涙や目ヤニの量が多い」「まぶしそうにしている」という症状がよく見られます。 …

    3年前
  • 肝生検

    健康診断で『肝臓の数値が高いですね』と言われたことや過去に『黄疸があり大変厳しい病気です』と動物病院で診断されたことはありませんか? 猫ちゃんの肝臓の病気は栄養性、感…

    6年前
  • 犬・猫の去勢手術

    【去勢手術のタイミングは?】 去勢手術をするにあたって、この時期・この年齢に必ず受けないといけないというものはございません。しかし、子犬・子猫ちゃんの場合は、性成熟を…

    3年前
  • 食道バルーン拡張術にて治療した食道狭窄の猫の1例

    食道狭窄とは食道内腔が異常に狭くなることで嚥下障害が生じる病態のことを言います。 主な原因としては、薬物や化学物質による化学的な粘膜傷害、過度な嘔吐や胃酸の逆流(逆流…

    2年前