2023年9月17日
尿管結石摘出術
尿管結石は文字通り腎臓と膀胱をつなぐ『尿管』に結石が詰まってしまい、二次的に腎臓に損傷が生じる疾患です。片方の尿管に閉塞しただけでは主だった症状は認められませんが、両側性に閉塞を起こすと急性腎不全を生じ命に関わる疾患です。

当院では尿管結石に関して ①結石摘出術 ②膀胱尿管新吻合術 ③SUB system 設置 の3つのオプションをご用意しております。
本症例は吐き気を主訴に来院され、腹部超音波検査にて右腎盂の拡張と拡張した尿管(3.8mm)および閉塞している結石を確認いたしました。
今回は閉塞した結石が一つであり、尿管の拡張が顕著で内腔に疎通性が認められたため結石摘出術を行いました。以下写真付きの術式紹介です。他の術式に関してはまた別ページにてご紹介いたします。











尿管自体はとても細く(1-2mm)通常肉眼では切開部位を確認することはできません。また縫合自体とても細かい作業になりますので難易度の高い手術になります。術後はJ-vacドレーンにて腹腔内への尿の漏出を管理し、一時的に抗炎症薬を使用することで尿管炎症を抑えます。本症例は尿の漏出もなく、再閉塞も生じませんでした。
その他の記事
-
犬の股関節脱臼の外科的整復(大腿骨頭切除)
犬の起こりやすい外科疾患の中に股関節脱臼というものがあります。股関節脱臼は全ての外傷性脱臼の中でも最も発生が多く、全ての年齢に起こり、犬種や性差に関係なく発生します。主…
2年前 -
肥満細胞腫
肥満細胞腫は、犬の皮膚腫瘍のうち20%前後を占めるため、犬の腫瘍では遭遇することの多い疾患にあたります。主にしこりの付近のリンパ節、続いて肝臓、脾臓へ転移することも多いため…
4年前
-
犬と猫の高カルシウム血症について
普段血中のカルシウム濃度は厳密に調整されていますが、恒常性が破綻してしまうと高カルシウム血症が生じてしまいます。軽度の高カルシウム血症の場合は無症状のことが多く、偶発的に見…
2年前 -
消化器科
『消化器疾患』吐出、嘔吐や下痢、食欲不振や体重減少などが認められたら消化器疾患を考えます。消化器とは、口、のど、食道、胃、小腸(十二指腸・空腸・回腸)、大腸、肛門まで続く消…
3年前 -
鼻梁にできた多小葉性骨腫瘍
多小葉性骨腫瘍は犬の頭蓋骨にできることの多い骨の腫瘍です。局所で拡大し脳を圧迫することで神経症状を示すことも少なくありません。今回は鼻梁部(鼻と頭蓋骨の間)にできた多小葉性…
3年前 -
狂犬病の予防や症状、法律について解説 | 毎年接種の必要性とは?
”狂犬病予防接種”、皆さんは毎年きちんと接種されていますか?どうして毎年接種しないといけないの?接種の必要はあるの?と思う方もいるかもしれません。狂犬病は皆さんが思っている…
3年前 -
猫の心筋症:肥大型心筋症(HCM)
心筋症には4つの代表的な分類が存在します。①肥大型心筋症(HCM)、②拘束型心筋症(RCM)、③拡張型心筋症(DCM)、④不整脈源生右室心筋症(ARVC)の4つに分類されて…
3年前 -
腹腔鏡補助下で実施した潜在精巣摘出術
潜在精巣とは片側または両側の精巣が陰嚢内に下降していない状態をいいます。ビーグルや雑種犬における精巣下行のタイミングは生後30~40日と言われており、2ヶ月齢の時点で精巣…
2年前 -
酸素中毒とは? | 酸素濃度は高ければいいわけではない!気を付けたい酸素中毒について
皆さんは "酸素中毒" というものをご存じでしょうか。スキューバダイビングなどで酸素ボンベを使ったことがある方は耳にされたことがあるかもしれませんが、実は酸素にも中毒があ…
4年前 -
甲状腺腺腫および肺腺癌に対して外科的介入を実施した猫の1症例 | 実際の手術写真を用いて解説
” 最近食欲はあるのに体重は減ってきている ” ” 落ち着きがなくなり、攻撃的になったり、夜中に鳴くようになった ” このような症状が認められることはありま…
7か月前
