ご予約はこちら
受診ご希望、獣医師の方 045-932-5151
企業、法人の方 090-6770-5244
2024年8月5日

腹腔鏡補助下で実施した潜在精巣摘出術

 潜在精巣とは片側または両側の精巣が陰嚢内に下降していない状態をいいます。ビーグルや雑種犬における精巣下行のタイミングは生後30~40日と言われており、2ヶ月齢の時点で精巣下行がみられない場合は潜在精巣と判断する説がある一方で犬種によっては精巣下行が遅延し、6ヶ月までは判断できないとする説もあります。個人的な経験では1歳を超えて精巣が下行した稀なケースも経験しています。

 

 潜在精巣の診断には触診が重要です。陰嚢内に精巣が確認できない場合は鼠径部の皮下や腹腔内に存在している可能性が高いため、触診で見つかられない場合は超音波検査で探します。腹腔内に精巣が存在している場合は腫瘍化をしやすく、捻転することもあるため手術が推奨されます。

 

 

 皮下の潜在精巣を摘出する場合は精巣の直上の皮膚を切開して精巣を露出した後は通常の去勢手術と同様に血管の処理をして皮膚の縫合をします。

 腹腔内の潜在精巣を摘出する場合は皮膚の切開に加えてお腹の筋肉も切った上で内臓の中から精巣を探し出さなければいけません。すぐに見つかる場合もあればお腹を大きく開けないと見つけられないこともあります。(特に大型犬では大変です。)

 

 

 当院では腹腔鏡を使って腹腔内で精巣を探し出し、その直上の皮膚を切開することで最小限の傷口で精巣を取り出すことができます。

 

 

 

腹腔内の精巣をお腹の外に出したら、定法通りに精管や血管を結紮し、精巣を切除します。

 

 このように腹腔鏡を使うとお腹を大きく開けて精巣を探す必要がないため、潜在精巣を摘出する傷口は小さくできます。傷口が小さい分身体への負担も少なく、このワンちゃんは手術当日に退院することができました!

 身体が小さい場合は適応にならないこともありますが、腹腔鏡や内視鏡を使用した低侵襲手術をご希望の方はお気軽にお問い合わせください。

腹腔鏡下避妊手術

腹腔鏡下肝生検

内視鏡を用いた膀胱結石摘出術

その他の記事

  • 犬と猫の慢性腎臓病(CKD)について解説 | 多尿や体重減少は慢性腎臓病の初期症状かもしれません! ~検査および診断編~

    こちらでは、慢性腎臓病(CKD)における必要な検査および診断について解説していきます。 慢性腎臓病には大きく4つのステージがあり、どのステージにいるのかで治療法や予…

    7か月前
  • 猫の乳腺腫瘍

     猫の乳腺腫瘍は犬の乳腺腫瘍と比較して悪性度が高く、おおよそ80%が悪性の癌であると言われています。雌猫に発生する腫瘍のうち17%が乳腺腫瘍であり、比較的発生率の多い腫瘍で…

    2年前
  • 犬と猫の予防接種の重要性について

    愛犬や愛猫の健康を守るために、予防接種はとても大切です。 予防接種は、犬や猫の健康を守るだけでなく人にも影響を及ぼす感染症を防ぐ重要な役割を果たします。 …

    1年前
  • ワクチンによるアナフィラキシーショック

    毎年たくさんのワンちゃんネコちゃんが予防接種のために来院しています。 病原体の病原性を弱めたり無毒化したものをワクチンとして接種することで、 恐ろしい感染症に対…

    2年前
  • 2026年 春の健康診断の結果をまとめました!

    この春も多くのわんちゃん、ねこちゃんに健康診断をご利用いただき、ありがとうございました。健康診断は、見た目は元気でも隠れている病気や体の変化を早期に見つけるための大切な機会…

    1週間前
  • 副腎腫瘍

    副腎腫瘍にはいくつか分類があり、その由来として副腎皮質由来か副腎髄質由来かで分けられ、ホルモンを実際に産生・分泌するかどうかで機能性のものと非機能性のものに分けられます。副…

    6年前
  • 犬と猫の副腎腫瘍について解説 | よくお水を飲む、尿が薄くて多いは病気の初期症状かも!?

    最近「お水を飲む量が多い」「おしっこが薄くて多い」「食欲がありすぎる」などの症状が見られることはありませんか? 副腎腫瘍では症状は多岐にわたり、無症状の場合もあり…

    10か月前
  • 胆嚢摘出術および総胆管ステント設置を実施した犬の1例

    胆嚢粘液嚢腫とは、胆嚢内に可動性の乏しい胆汁由来の粘液状物質が過剰に貯留した状態です。この粘液状物質が過剰に貯留してしまうと胆嚢拡張を起こしたり、胆汁の流れ出る通り道である…

    1年前
  • 両側に胸腔ドレーンを設置し救命した膿胸の猫

    救急診療時間内にきた膿胸の猫の一例を紹介いたします。   症例 雑種猫 1歳 避妊メス 数日前から元気がなく今日になって呼吸が苦しそうとのことで来院されました。…

    2年前
  • 猫の尿管結石の症例

    猫の尿管結石は比較的若齢でも発生する泌尿器系の疾患です。腎臓と膀胱をつなぐ尿管に結石が閉塞することで、腎臓で産生された尿が膀胱に流れず、腎臓に貯まってしまいます(水腎症)…

    4年前