ご予約はこちら
045-932-5151
2023年5月13日

鼻梁にできた多小葉性骨腫瘍

多小葉性骨腫瘍は犬の頭蓋骨にできることの多い骨の腫瘍です。局所で拡大し脳を圧迫することで神経症状を示すことも少なくありません。今回は鼻梁部(鼻と頭蓋骨の間)にできた多小葉性骨腫瘍の症例をご紹介いたします。

フレンチブルドッグ 8歳 避妊雌 

鼻梁部が膨れてきたとの事で来院されました。一般状態は良好でしたが少し元気がないかもとの事。

触診では固い組織が触知され、熱感や疼痛は認められませんでした。頭部レントゲン検査では鼻梁部にレントゲン不透過性の陰影が確認されました。腫瘤性病変を疑いFNAを行いましたが腫瘍細胞は採取できなかったためCT検査を行いました。

軟部組織条件  橙矢印
骨条件  赤矢印

CT検査では鼻梁部に放射状の骨増生を中心とした、体軸1.7cm×高さ2.1cmの腫瘤性病変を認め、造影剤にて増強を認めたことにより腫瘍性病変を疑うと診断されました。また幸いなことに鼻腔内への浸潤は認められなかったため摘出を行いました。

皮膚を切開すると直下に腫瘤病変を確認しました。周囲の軟部組織と腫瘤を剥離し腫瘤病変のみを露出させると頭蓋骨から派生していることが顕著にわかります。

皮膚直下に確認できた腫瘤
軟部組織から剥離

周囲の骨と腫瘤の境目は不明瞭であり、発生部位からも十分なマージンの確保は不可能と判断しできる限りの切除にとどめました。切除にはラウンドバーを使用しました。

深部方向には浸潤してませんでしたので奥に向かう部分は切除しきることができました。病理検査は珠前のCTの見解と一致し、骨の多小葉性腫瘍でした。術後一時的な皮下気腫は生じてしまいましたが、経過は良好で現在はドキソルビシンを使用した補助治療を行っております。(偶発的にCTにて心臓腫瘍も確認されました)。

その他の記事

  • 先天性疾患 心膜横隔膜ヘルニア整復

    腹膜心膜横隔膜ヘルニア(Peritoneopericardial Diaphragmatic Hernia;PPDH)は、「心膜横隔膜ヘルニア」とも呼ばれる、先天的に発生す…

    7か月前
  • 侮ってはいけないノミ・ダニ予防について解説 | 痒いだけでは済まない場合もあります

    ノミやダニと聞くと、痒いというイメージを持たれる方が多いと思います。しかし、ノミやダニは痒みを引き起こすだけでなく、わんちゃんや猫ちゃん、さらには人にも様々な病気を引き起こ…

    3年前
  • 低侵襲手術(内視鏡を用いた膀胱結石の摘出)

     膀胱結石は犬、猫ともに発生頻度の多い泌尿器疾患です。体質により再発を繰り返すことが多いですが、手術時に細かな結石を取り残してしまうことによって術後早期に膀胱内に結石が確認…

    3年前
  • 犬と猫の慢性腎臓病(CKD)について解説 | 多尿や体重減少は慢性腎臓病の初期症状かもしれません! ~治療編~

    こちらの記事では慢性腎臓病(CKD)の治療法について解説していきます。 今までの記事でも解説した通り、慢性腎臓病の治療法はステージによって治療も異なります。 …

    3か月前
  • 犬の甲状腺機能低下症について | 元気がないや皮膚症状は甲状腺機能低下症の初期症状かも? ~症状編~

    こちらの記事では甲状腺機能低下症の症例で認められやすい症状について解説していきます。 甲状腺ホルモンは全身的に作用するため、症状も様々なものが認められます。 …

    4か月前
  • 2022年の健康診断のまとめ

    季節が過ぎるのは早いもので、あっという間に新年度を迎えました。 今年もワンちゃんのフィラリアの検査・予防が始まる時期になりました。 当院ではフィラリアの予防を始…

    3年前
  • 両側に胸腔ドレーンを設置し救命した膿胸の猫

    救急診療時間内にきた膿胸の猫の一例を紹介いたします。   症例 雑種猫 1歳 避妊メス 数日前から元気がなく今日になって呼吸が苦しそうとのことで来院されました。…

    2年前
  • アレルギー食|たくさんありすぎてどれを選んでいいか分からない?種類と使い分けについて

    ペットショップや薬局のペットフードコーナーで「アレルギー体質の子向け」と書かれたフードを見かけたり、獣医さんから「アレルギーかも」と言われたことはありますか? アレル…

    10か月前
  • 皮膚科

     皮膚疾患はワンちゃんや猫ちゃんが予防以外で動物病院を受診する理由としてTOP3に入り、当院でも皮膚疾患で受診される方が多くいらっしゃいます。「痒がっている」、「皮膚が赤く…

    3年前
  • 酸素中毒とは? | 酸素濃度は高ければいいわけではない!気を付けたい酸素中毒について

    皆さんは "酸素中毒" というものをご存じでしょうか。スキューバダイビングなどで酸素ボンベを使ったことがある方は耳にされたことがあるかもしれませんが、実は酸素にも中毒があ…

    4年前