2023年5月2日
低侵襲手術(内視鏡を用いた膀胱結石の摘出)
膀胱結石は犬、猫ともに発生頻度の多い泌尿器疾患です。体質により再発を繰り返すことが多いですが、手術時に細かな結石を取り残してしまうことによって術後早期に膀胱内に結石が確認されることもあります。実際に一般的な開腹手術では20%以上の症例で結石の取り残しがあったとする報告もされています。従来法で結石を取り残さないようにするためには膀胱を大きく切開する必要がありましたが、傷口が大きく動物の負担も大きくなってしまします。
そこで今回は近年動物医療でも普及されつつある細径内視鏡を用いて、小さな傷で、膀胱内・尿道内の結石を摘出した犬の1例を報告します。
症例は過去に結石の手術の経験があり、短期間で再発していることからセカンドオピニオンを求めて来院されました。結石は小さく臨床徴候も乏しいですが、結石が尿道内に移動してしまうため尿道閉塞のリスクを考慮して手術を希望されました。








今回は内視鏡を用いた方法で膀胱内・尿道内の結石を摘出しました。従来の方法と比較して傷口が小さいうえに膀胱内をよく観察できるため、結石の取り残しの心配がありません。また、今回のように尿道内に結石が移動してしまう場合には摘出ができないまま終わってしまうことも考えられます。
この内視鏡を用いた方法であれば動物の負担の少ない手術ができるので、内科治療に反応しない場合には早期の摘出手術を考えてもよいと思います。また、術後には結石を予防するサプリメント等もありますので、膀胱結石でお悩みの方は当院までお問い合わせください。
その他の記事
-
総合診療科
例えば、嘔吐や下痢が認められれば、何となく消化器が悪いのかな?と考えることができますし、咳をしていれば呼吸器かな?と予測することができます。しかし、「なんかいつもと様子が違…
3年前 -
腹腔鏡下避妊手術
開腹手術では上からの視点のみで、傷口を大きく開かない限り腹腔内をよく観察することは難しいです。 胆嚢や肝臓 膀胱 …
2年前
-
犬の椎間板ヘルニア
椎間板ヘルニアは、犬において最も遭遇する頻度の高い神経疾患の一つです。椎間板は椎骨間(背骨と背骨の間)の緩衝材として存在しています。この椎間板が変性し、脊髄を圧迫すること…
3年前 -
犬の甲状腺機能低下症について | 元気がないや皮膚症状は甲状腺機能低下症の初期症状かも? ~治療編~
こちらの記事では甲状腺機能低下症の治療について解説していきます。 正しく適切なホルモン補充療法とモニタリングが行われていれば予後良好なことが多いです。 甲状腺…
9か月前 -
犬の乳腺腫瘍
犬の乳腺腫瘍とは、雌犬で一般的に認められる腫瘍であり、雌犬の全腫瘍中52%を占め、約半数が悪性です。臨床徴候としては乳腺内に単一または多発性に結節を認め、悪性の場合は急速…
3年前 -
新しい「がん」の血液検査:血中ヌクレオソームの測定
獣医療の発展に伴いペットの長寿化は進んでいますが、その中でも死因の上位にあげられるのが悪性腫瘍、いわゆる「がん」です。特にワンちゃんの死因では「がん」が第1位に…
2年前 -
膝蓋骨脱臼の整復
膝蓋骨脱臼は小型犬に多い整形疾患です。膝蓋骨が大腿骨の滑車溝から外れてしまうことで膝関節伸展機構が正常に機能せず、膝をうまく伸ばせない状態になってしまいます。典型的な臨床…
3年前 -
犬と猫の副腎腫瘍について解説 | よくお水を飲む、尿が薄くて多いは病気の初期症状かも!? ~検査・診断編~
こちらの記事では副腎腫瘍の症例での必要な検査や診断について解説していきます。 副腎腫瘍では診断するためには様々な検査が必要になってきます。 ぜひ最後までお読みい…
11か月前 -
かかると大変なフィラリア症や予防について解説
毎年春になるとフィラリア予防という言葉を耳にすると思います。なんとなくわんちゃんに害がありそうだから、健康診断のついでにやっておこうかな?本当にフィラリアの検査って必要な…
3年前 -
犬と猫の慢性腎臓病(CKD)について解説 | 多尿や体重減少は慢性腎臓病の初期症状かもしれません!
最近 "おしっこの量が増えた" や "体重が減ってきた" などが認められることはありませんか? もしかしたら、それは慢性腎臓病の初期症状かもしれません。 慢性…
9か月前


