犬と猫の慢性腎臓病(CKD)について解説 | 多尿や体重減少は慢性腎臓病の初期症状かもしれません! ~治療編~
こちらの記事では慢性腎臓病(CKD)の治療法について解説していきます。
今までの記事でも解説した通り、慢性腎臓病の治療法はステージによって治療も異なります。
腎臓病の治療法について気になる方はぜひ参考にしてみてください。

治療法は?
慢性腎臓病では、現在のステージによって推奨される治療法が異なってきます。すでに破壊されてしまった腎臓の組織は治療をしても回復しません。そのため、血液中の老廃物や毒素を体内に貯めすぎないようにして体調を維持すること、慢性腎臓病の進行をできるだけ緩やかにすることが治療の主体となります。

◎ ステージ1
・可能な限り腎毒性のある薬剤(NSAIDsや抗菌薬など)の使用を中止します。また、腎前性、腎後性の異常があればその治療を行います。
・高血圧、持続的な蛋白尿(UPC:犬>0.5、猫>0.4)や高リン血症がみられる場合は、内服薬やサプリメントが必要になることがあります。
・食事は腎臓療法食を開始し、新鮮な水を常に飲めるようにしておくと良いです。定期的に血液検査を実施し悪化していないかを確認することも大切です。

◎ ステージ2
ステージ1の治療に加えて、臨床兆候に応じた追加の治療が行われます。

◎ ステージ3
ステージ2までの治療を継続しつつ以下の治療が追加で推奨されます。
・貧血を呈している場合はエリスロポイエチン製剤の使用、嘔吐や食欲不振がみられる場合は制吐剤や補液(水和状態の維持)を行います。入院が必要になることもあります。
・リンは<5.0mg/dlに維持することが理想です。

◎ ステージ4
ステージ3までの治療を継続しつつ以下の治療が追加で推奨されます。
・定期的な補液や積極的な治療が必要になることが多いです。食事が取れない場合は食欲増進剤や栄養チューブ(経鼻カテーテルや経食道/胃チューブなど)の設置が検討されます。
・リンは<6.0mg/dlに維持することが理想です。




まとめ
これまで解説した通り、腎臓病は基本的には治らない病気になります。そのため、いかに早く発見できるかや、いかに進行を遅らせることが出来るかが重要となります。
早期発見のためには、お家で少しでも様子がおかしいと思ったら病院へ連れてきてもらうことや、定期的な健康診断がお勧めとなります。まずは年に1度からでも構いませんので健康診断をしてみることをお勧めいたします。
⇨健康診断についてはこちらから

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
こちらのリンクよりそれぞれのページに移行できますので、ぜひご参考にして下さい。
▼ 慢性腎臓病とは⇨こちらから
▼ よく見られる症状について⇨こちらから
▼ 検査および診断について⇨こちらから

Q&A
Q. 慢性腎臓病は治りますか?
A. 完治することは出来ませんが、症状を遅らせることは可能です。
Q. 慢性腎臓病の子の食事はどうしたらいいですか?
A. 食事については腎臓病のステージによって、お勧めの種類が変わってきます。ある程度ステージが進行している場合には、蛋白質やリン、カルシウムなどの成分が調整されている療法食が推奨される場合があります。
Q. 早期発見のためにはどうしたらいいですか?
A. 多飲多尿、食欲不振、体重減少などの症状が出てきた場合には注意が必要です。
また、定期的な検診を実施することも早期発見に繋がります。
その他の記事
-
短頭種気道症候群
短頭種気道症候群とは多くが先天性で、パグやフレンチブルドッグなど短頭種に生じる疾患の総称です。外鼻腔狭窄、軟口蓋過長症、気管低形成を先天的に生じ、持続的な気道抵抗の増加によ…
3年前 -
犬と猫の高カルシウム血症について
普段血中のカルシウム濃度は厳密に調整されていますが、恒常性が破綻してしまうと高カルシウム血症が生じてしまいます。軽度の高カルシウム血症の場合は無症状のことが多く、偶発的に見…
2年前
-
腹腔鏡補助下で実施した潜在精巣摘出術
潜在精巣とは片側または両側の精巣が陰嚢内に下降していない状態をいいます。ビーグルや雑種犬における精巣下行のタイミングは生後30~40日と言われており、2ヶ月齢の時点で精巣…
2年前 -
犬の外傷性股関節脱臼
犬の起こりやすい外科疾患の中に股関節脱臼というものがあります。股関節脱臼は全ての外傷性脱臼の中でも最も発生が多く、全ての年齢に起こり、犬種や性差に関係なく発生します。主に…
2年前 -
犬の甲状腺機能低下症について | 元気がないや皮膚症状は甲状腺機能低下症の初期症状かも? ~症状編~
こちらの記事では甲状腺機能低下症の症例で認められやすい症状について解説していきます。 甲状腺ホルモンは全身的に作用するため、症状も様々なものが認められます。 …
9か月前 -
犬と猫のてんかん発作について | その症状もしかしたら発作ではないですか?
"てんかん"と聞くと、発作が起きて意識を失ったり、バタバタ泳いだりするイメージがありますが、てんかんにも様々な種類があります。中にはてんかん発作だと思っていなかったけど、…
6か月前 -
尿管結石摘出術
尿管結石は文字通り腎臓と膀胱をつなぐ『尿管』に結石が詰まってしまい、二次的に腎臓に損傷が生じる疾患です。片方の尿管に閉塞しただけでは主だった症状は認められませんが…
3年前 -
当院での避妊手術について、詳しい手術方法を解説します
皆さんが飼われているペットさんは避妊手術・去勢手術はされましたか?今回は当院での避妊手術について紹介したいと思います。 当院での避妊手術は「子宮卵巣摘出術」を採用…
3年前 -
犬と猫の副腎腫瘍について解説 | よくお水を飲む、尿が薄くて多いは病気の初期症状かも!? ~症状編~
こちらの記事では副腎腫瘍の症例で良く認められる症状について解説していきます。 副腎腫瘍の性質や種類によって出てくる症状は様々になります。 ぜひ最後までお読みいた…
11か月前 -
犬と猫の副腎腫瘍について解説 | よくお水を飲む、尿が薄くて多いは病気の初期症状かも!? ~検査・診断編~
こちらの記事では副腎腫瘍の症例での必要な検査や診断について解説していきます。 副腎腫瘍では診断するためには様々な検査が必要になってきます。 ぜひ最後までお読みい…
11か月前
