2025年12月24日
犬の甲状腺機能低下症について | 元気がないや皮膚症状は甲状腺機能低下症の初期症状かも? ~症状編~
こちらの記事では甲状腺機能低下症の症例で認められやすい症状について解説していきます。
甲状腺ホルモンは全身的に作用するため、症状も様々なものが認められます。
ぜひ最後までお読みいただき参考にしてください。

臨床症状
甲状腺機能低下症の子では以下の症状が認められることがあります。
・元気消失:歩いたり起立を嫌がる
・皮膚症状:皮膚の肥厚、上眼瞼・口唇の肥厚、脱毛、脂漏・落屑、細菌などの2次感染
・神経症状:末梢神経症状(姿勢反応の低下)、脳神経症状(斜頸、顔面神経麻痺)
中枢神経症状(嗜眠、昏睡、てんかん発作の増悪)
・低体温
・徐脈
・肥満
・便秘
・雌犬の無発情
・食道拡張(まれに)
ほとんどすべての症例で認められる臨床症状は元気消失ですが、軽度だと気付かない場合も多いです。神経症状は症例の半数またはそれ以上で認められることがあります。
また、皮膚症状も多くの犬で認められ、とくに皮膚の肥厚や上眼瞼・口唇の肥厚が認められます。上眼瞼や口唇の皮下にはムチンが蓄積し浮腫状になるため粘液水腫ともいわれます。この状態に陥ると、悲しそうな表情に似たように見えるため「悲劇的顔貌」ともいわれます。皮膚の代謝障害のため、脂漏・落屑や細菌や真菌などの二次感染も多く認められます。

↑悲劇的顔貌の例

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
こちらのリンクよりそれぞれのページに移行できますので、ぜひご参考にして下さい。
▼ 治療法について
その他の記事
-
2025年 春の健康診断の結果をまとめました!
こんにちは!春のフィラリア検査・健康診断シーズンが終わり、すっかり真夏の暑さが到来しています。
今年もたくさんのわんちゃん・ねこちゃん達が健康診断のために来院してくれ…1年前 -
尾状葉乳頭突起の肝葉切除(肝細胞癌)
犬の肝臓の腫瘍性疾患において一番多く発生する腫瘍は肝細胞癌です。日常の臨床的にもよく遭遇する腫瘍で、発生の形態によって孤立性、多発性、び慢性に分けられます。経過としては徐々…
2年前
-
消化管穿孔
消化管穿孔は外傷、異物、腫瘍など様々理由で生じます。今回は消化管の穿孔により細菌性腹膜炎を生じた猫を紹介いたします。 雑種猫 2歳9カ月 去勢雄 数日前から食欲…
3年前 -
胸腺腫摘出を実施した猫の1症例 | 実際の手術写真を用いて解説
胸腺腫とは犬や猫で稀に発生する前縦隔腫瘍の一つです。 胸腺は若齢動物では発達していますが、基本的に成長とともに萎縮し小さくなります。胸腺腫では、この胸腺の上皮細胞が…
7か月前 -
鼻梁にできた多小葉性骨腫瘍
多小葉性骨腫瘍は犬の頭蓋骨にできることの多い骨の腫瘍です。局所で拡大し脳を圧迫することで神経症状を示すことも少なくありません。今回は鼻梁部(鼻と頭蓋骨の間)にできた多小葉性…
3年前 -
口腔内腫瘤に対して下顎部分切除を実施した犬の1症例
犬の口腔内腫瘍には悪性黒色腫、扁平上皮癌、線維肉腫など様々な種類の腫瘍が発生することが報告されています。この中でも、悪性黒色腫は悪性度の高い口腔内腫瘍の中で最も発生率の高…
3か月前 -
ネコちゃんに多い内分泌疾患 甲状腺機能亢進症
甲状腺は喉にあり、甲状腺ホルモンを分泌します。甲状腺から異常にホルモンが分泌されてしまう病気を甲状腺機能亢進症と言います。 診断するにはそれほど複雑…
2年前 -
犬と猫の高カルシウム血症について
普段血中のカルシウム濃度は厳密に調整されていますが、恒常性が破綻してしまうと高カルシウム血症が生じてしまいます。軽度の高カルシウム血症の場合は無症状のことが多く、偶発的に見…
2年前 -
腹腔鏡補助下で実施した潜在精巣摘出術
潜在精巣とは片側または両側の精巣が陰嚢内に下降していない状態をいいます。ビーグルや雑種犬における精巣下行のタイミングは生後30~40日と言われており、2ヶ月齢の時点で精巣…
2年前 -
犬アトピー性皮膚炎|病態について
アトピー性皮膚炎とは、 「遺伝的素因を有した、痒みを伴うT細胞(炎症細胞の一種)を主体とした炎症性皮膚疾患」 と定義されています。 「遺伝的素因」を有して…
2年前
