ご予約はこちら
045-932-5151
2026年1月1日

犬の甲状腺機能低下症について | 元気がないや皮膚症状は甲状腺機能低下症の初期症状かも? ~検査および診断編~

こちらの記事では甲状腺機能低下症における検査および診断について解説していきます。

甲状腺機能低下症では、様々な検査が検査が併用される場合があります。

甲状腺機能低下症の可能性がある飼い主様はぜひ最後までお読みください。

必要な検査および診断は?

犬の甲状腺機能低下症の診断では一つの検査だけで診断を下すのが困難なため、血液検査や超音波画像検査など様々な検査が併用されます。

【血液検査】

簡易的な血液検査では異常値が認められることは少なく、長期間放置されたような症例では異常値として認められることがあります。しかし、これらの所見は極めて特異的なため、成犬の甲状腺機能低下症の診断にはあまり役立ちません。そのため、ホルモン検査が併用されることが多くなります。

◎CBC、血液化学検査

軽度の非再生性貧血や高脂血症(甲状腺機能低下症の70%程度)がみられることがありますが、これらの所見は非特異的であり、確定診断にはなりません。

◎ 内分泌検査

臨床兆候から甲状腺機能低下症が疑われる場合、T4、fT4、イヌ甲状腺刺激ホルモン(cTSH)を測定します。しかし、これらは甲状腺以外の病気や投薬等によって血中の甲状腺ホルモンが低下する減少(ユーサイロイドシック症候群:ESS)の影響を受けやすいので、内分泌検査を行う時にはESSを除外しておく必要があります

① T4

甲状腺機能低下症では低値になりますが、ESSの影響を受けやすく、これだけで確定診断することはできません。

② fT4

T4よりESSの影響を受けにくく、信頼性が高いです。低値ならば甲状腺機能低下症の可能性があります。

③ TSH

甲状腺機能低下症の多くで高値になります。ただし、慢性的に無治療だった場合は低値を示すことがあり、甲状腺機能低下症を除外することはできません。

甲状腺機能低下症に対する検査フロー

※T4低値、fT4低値、TSH高値 ➡ 甲状腺機能低下症が疑われます

【画像検査】

血液検査のみでは甲状腺機能低下症とESSを鑑別することは難しく、画像検査を併用することで診断が可能となる場合があります。

◎ 超音波検査

甲状腺が萎縮している場合(短径3.0mm未満)は甲状腺機能低下症が考えられます。ただし、重度に萎縮した場合はエコーで検出するのが難しい場合があります。

萎縮した甲状腺の実際の超音波画像

◎ 頸部CT検査

甲状腺機能低下症とESSを鑑別するうえで有用な検査方法です。健康犬の甲状腺は周囲組織よりCT値は高いです(白くなる)が、甲状腺機能低下症では甲状腺は委縮し周囲組織と同じCT値になります。ただし、検査には鎮静や麻酔が必要になる場合があります。

ホルモン検査だけでも仮診断が可能な場合もありますが、画像検査にて萎縮した甲状腺が確認できれば、甲状腺機能低下症の可能性がより高まります。

似たような症状としてESS(ユーサイロイドシック症候群)がありますが、甲状腺機能低下症の診断ではこの疾患を必ず除外することが重要となります。

そのため、甲状腺機能低下症の診断には様々な検査を併用して行う必要があるのです。

もしかして?と思った場合にはお気軽にお問い合わせください。

 

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

 

こちらのリンクよりそれぞれのページに移行できますので、ぜひご参考にして下さい。

 

甲状腺機能低下症とは?

よく見られる症状について

治療法について

その他の記事

  • 犬と猫の高カルシウム血症について

    普段血中のカルシウム濃度は厳密に調整されていますが、恒常性が破綻してしまうと高カルシウム血症が生じてしまいます。軽度の高カルシウム血症の場合は無症状のことが多く、偶発的に見…

    2年前
  • 当院での避妊手術について、詳しい手術方法を解説します

     皆さんが飼われているペットさんは避妊手術・去勢手術はされましたか?今回は当院での避妊手術について紹介したいと思います。  当院での避妊手術は「子宮卵巣摘出術」を採用…

    3年前
  • 犬と猫の予防接種の重要性について

    愛犬や愛猫の健康を守るために、予防接種はとても大切です。 予防接種は、犬や猫の健康を守るだけでなく人にも影響を及ぼす感染症を防ぐ重要な役割を果たします。 …

    1年前
  • 尾状葉乳頭突起の肝葉切除(肝細胞癌) 

    犬の肝臓の腫瘍性疾患において一番多く発生する腫瘍は肝細胞癌です。日常の臨床的にもよく遭遇する腫瘍で、発生の形態によって孤立性、多発性、び慢性に分けられます。経過としては徐々…

    2年前
  • 泌尿器科

     泌尿器とは泌尿器とは、腎臓、尿管、膀胱、尿道などからなる器官の総称で、血液をろ過して尿を作り、体内の水分や塩分のバランスを調整する働きをします。  高齢になると腎臓…

    3年前
  • 犬の乳腺腫瘍

     犬の乳腺腫瘍とは、雌犬で一般的に認められる腫瘍であり、雌犬の全腫瘍中52%を占め、約半数が悪性です。臨床徴候としては乳腺内に単一または多発性に結節を認め、悪性の場合は急速…

    3年前
  • 呼吸器科

      『当院では、様々な呼吸器疾患に対し質の高い診断や治療が可能にするために血液検査機器、血液ガス検査機器、胸部レントゲン検査、気管支鏡検査、ICU(集中治療室)、およ…

    3年前
  • リンパ節生検を実施した犬の小細胞性リンパ腫/慢性リンパ球性白血病(CLL)の症例

     慢性リンパ球性白血病(CLL)は腫瘍化したリンパ系細胞が分化能を有しているために成熟リンパ球が増加する疾患で、腫瘍性病変の原発部位が骨髄である場合は慢性リンパ性白…

    2年前
  • 副腎腫瘍・副腎腺腫摘出

    副腎腫瘍は当院で手術が可能な腫瘍です。この腫瘍はその特性上   ①腫瘍の分類 ②副腎皮質機能亢進症の有無 ③血管への浸潤や位置関係   …

    2年前
  • 鼻梁にできた多小葉性骨腫瘍

    多小葉性骨腫瘍は犬の頭蓋骨にできることの多い骨の腫瘍です。局所で拡大し脳を圧迫することで神経症状を示すことも少なくありません。今回は鼻梁部(鼻と頭蓋骨の間)にできた多小葉性…

    3年前