ご予約はこちら
045-932-5151
2020年4月3日

糖尿病性ケトアシドーシス

糖尿病性ケトアシドーシスとは内科エマージェンシーの1つであり、糖尿病が進行して発症します。発症メカニズムとしては、インスリン不足によりブドウ糖の細胞内への取り込みが減り、代償性に中性脂肪がβ酸化を起こし、ケトン体が産生され、代謝性アシドーシスが引き起こされることにより発症します。同時に、高血糖が進んだ結果浸透圧利尿がかかり脱水が起きるため、単純にインスリンを投与しても効かなくなってしまいます。診断基準は、持続的な高血糖、尿ケトン陽性、代謝性アシドーシスの3つを満たすことが条件です。

(犬と猫の内分泌疾患ハンドブック 32-37p 2019.2 学窓社 より)

猫 雑種 16歳 去勢雄
主訴:食欲低下、ふらつき、多飲多尿
来院時全身状態は悪く、脱水も重度であったため、血液検査を行いました。結果、600mg/dLを超える高血糖に加え、血漿中ケトンが検出されたため、脱水の改善を目的として入院下で点滴治療を始めました。その後インスリンの持続点滴を開始し、定期的に血糖値、電解質、腎数値、リン、カルシウム、尿ケトンを測定していき、ケトアシドーシスの状態を脱するまで集中管理を行いました。
尿ケトンが検出されなくなり、自由摂食・飲水が可能になった後は、インスリンを持続点滴から注射薬に変更し、自宅でのインスリン投与で血糖値を適正範囲でキープできるようにインスリンの用量を調整しました。

退院後は併発疾患である膵炎の再発に十分注意しながら経過を追っています。

今回は糖尿病性ケトアシドーシスまで進行した状態で来院した症例でした。糖尿病は初期段階では多飲多尿などの徴候のみ認められ、全身状態の悪化など飼い主様が気づく異常が発生しない場合が多々あります。そのため、当院では定期的な血液検査による血糖値の測定をお勧めしております。

その他の記事

  • 肺高血圧症

    今回の症例は『肺高血圧症(pulmonary hypertension: PH)』です。
    肺高血圧症は肺動脈圧の上昇を主として、様々な疾患から2次的に生じることの多い…

    6年前
  • 犬・猫の去勢手術

    【去勢手術のタイミングは?】 去勢手術をするにあたって、この時期・この年齢に必ず受けないといけないというものはございません。しかし、子犬・子猫ちゃんの場合は、性成熟を…

    2年前
  • 尿管結石摘出術

      尿管結石は文字通り腎臓と膀胱をつなぐ『尿管』に結石が詰まってしまい、二次的に腎臓に損傷が生じる疾患です。片方の尿管に閉塞しただけでは主だった症状は認められませんが…

    3年前
  • 犬の椎間板ヘルニア

     椎間板ヘルニアは、犬において最も遭遇する頻度の高い神経疾患の一つです。椎間板は椎骨間(背骨と背骨の間)の緩衝材として存在しています。この椎間板が変性し、脊髄を圧迫すること…

    3年前
  • 犬の胆嚢粘液嚢腫について | 進行してから症状が現れる恐い病気でもあります

    胆嚢粘液嚢腫とは主に犬で多く見られる疾患で、胆嚢という臓器に可動性の乏しい粘液が過剰に溜まることで発症するとされています。一昔前までは稀な疾患とされていましたが、近年では…

    3か月前
  • 若い子に稀に見られる疾患、先天性門脈体循環シャントとは? │ 早期発見や実際の治療法について

    先天性門脈体循環シャントは主に若齢の犬ちゃんや猫ちゃんで稀に認められる病気です。 この疾患は特異的な臨床症状を示さないこともあり、詳しい検査をしないと見つからないこと…

    8か月前
  • 犬と猫の混合ワクチンについて | どれが家の子に合うの?

    コロナの影響によって”ワクチン”という言葉をよく耳にするかと思います。わんちゃん、ねこちゃんと一緒にいると、はがきなどによって混合ワクチンのお知らせが届くと思います…

    3年前
  • ネコちゃんに多い内分泌疾患 甲状腺機能亢進症

    甲状腺は喉にあり、甲状腺ホルモンを分泌します。甲状腺から異常にホルモンが分泌されてしまう病気を甲状腺機能亢進症と言います。   診断するにはそれほど複雑…

    1年前
  • 腹腔鏡下避妊手術

    開腹手術では上からの視点のみで、傷口を大きく開かない限り腹腔内をよく観察することは難しいです。 胆嚢や肝臓 膀胱 …

    2年前
  • 紐状異物

    紐状異物は危険な異物の一つで、特に猫に多く見られます。 消化管は食べ物を消化・吸収するために蠕動運動をしています。紐によって手繰り寄せられた消化管は、蠕動運動によって…

    3年前