- ホーム
- 症例
- 消化器の病気/総合診療科
- 炎症性腸疾患<IBD>、慢性腸症
炎症性腸疾患<IBD>、慢性腸症
炎症性腸疾患<inflammation Bowel disease:IBD>
慢性腸症<chronic entropathy:CE>
小腸または大腸の粘膜固有層における炎症細胞浸潤によって特徴づけられる原因不明の慢性腸障害を特徴とする症候群であり、診断は基本的に除外診断と消化管の内視鏡および全層生検となります。(MPアグロジャーナルNo.12 p2 2013.01 MPアグロ株式会社 より一部引用)
具体的には以下の4つを満たす場合に診断とします
①慢性の消化器徴候が3週間以上続くこと
②病理組織学的検査により胃腸粘膜の炎症性変化が明らかであること
③胃腸に炎症を起こす原因や慢性消化器徴候を起こす他疾患が認められないこと
④対症療法に完全には反応しないこと
(GO-VET03 p4 2018.6 学窓社 より抜粋)
また、慢性腸症と炎症性腸疾患の厳密な違いに関しては2019年現在でも意見が分かれております。


症例
ミニチュアダックスフンド 5歳 避妊メス
主訴:下痢と腹囲膨満
元気はあるがお腹がポンポンに膨れている、ステロイドを使用すると一時的によくなるが、やめると再発するとのことで転院されてきました。血液検査にてアルブミンの著しい低値(1.6 g/dL)が認められ、エコー検査では腹水と消化管の炎症所見が認められました。そこで、確定診断のため内視鏡下腸生検と全層生検を行いました。
*写真はエコー検査および内視鏡にて撮影した画像です。

病理組織学的検査は
『リンパ管拡張を伴うリンパ球形質細胞性腸炎』
『肉芽腫性リンパ管炎』
との診断でした。
急性期の治療には高容量のステロイドと低アレルギー食を用いにて状態を安定させ、慢性期ではステロイドの容量を少しづつ減量していきました。今ではごく低用量のステロイド治療で治療中です。もちろん元気いっぱいの姿を見せてくれています。
今回の症例では以前からステロイドの投与が行われていました。同様にステロイドに反応性のあるリンパ腫とIBDを鑑別することで長期的な維持を可能にするために、診断を確定させる必要がありました。
当院では診断がつかないために再発を繰り返す消化器症状の子に対して、血液検査はもちろんレントゲン検査や腹部超音波検査、さらには内視鏡検査を行うことで診断をし、より積極的な診断・治療を行う事で状態長期安定化を図っております。
その他の記事
-
副腎皮質機能低下症(アジソン病)について解説 | 最近いつもより元気や食欲がないは病気のサインかも?~治療編~
こちらの記事では副腎皮質機能低下症(アジソン病)の症例で必要な治療について解説していきます。 副腎皮質機能低下症(アジソン病)は、生涯にわたる投薬が必要になりますが…
11か月前 -
紐状異物
紐状異物は危険な異物の一つで、特に猫に多く見られます。 消化管は食べ物を消化・吸収するために蠕動運動をしています。紐によって手繰り寄せられた消化管は、蠕動運動によって…
3年前
-
犬の乳腺腫瘍
犬の乳腺腫瘍とは、雌犬で一般的に認められる腫瘍であり、雌犬の全腫瘍中52%を占め、約半数が悪性です。臨床徴候としては乳腺内に単一または多発性に結節を認め、悪性の場合は急速…
3年前 -
犬の脾臓腫瘍
犬の脾臓腫瘍は中・高齢で好発し、1/3~1/2が悪性とされています。腫瘍破裂や出血により劇症を呈することもあれば、症状が認められない場合も少なくありません。今回紹介…
3年前 -
消化器科
『消化器疾患』吐出、嘔吐や下痢、食欲不振や体重減少などが認められたら消化器疾患を考えます。消化器とは、口、のど、食道、胃、小腸(十二指腸・空腸・回腸)、大腸、肛門まで続く消…
3年前 -
胆嚢摘出術および総胆管ステント設置を実施した犬の1例
胆嚢粘液嚢腫とは、胆嚢内に可動性の乏しい胆汁由来の粘液状物質が過剰に貯留した状態です。この粘液状物質が過剰に貯留してしまうと胆嚢拡張を起こしたり、胆汁の流れ出る通り道である…
1年前 -
甲状腺腺腫および肺腺癌に対して外科的介入を実施した猫の1症例 | 実際の手術写真を用いて解説
” 最近食欲はあるのに体重は減ってきている ” ” 落ち着きがなくなり、攻撃的になったり、夜中に鳴くようになった ” このような症状が認められることはありま…
8か月前 -
肺高血圧症
今回の症例は『肺高血圧症(pulmonary hypertension: PH)』です。
肺高血圧症は肺動脈圧の上昇を主として、様々な疾患から2次的に生じることの多い…6年前 -
犬と猫の糖尿病について | よくお水を飲んだり、おしっこの量が多いのは初期症状かも?
"糖尿病"とはインスリンと言われる血糖値を調整するホルモンが不足することで、持続的な高血糖など、様々な代謝異常を起こす病気になります。この病気は、人でも7大生活習慣病の1…
6か月前 -
肝中央区域の腫瘍および胆嚢を一括切除した犬の一例
近年では、獣医療の発達とともに犬猫の長寿化が認められるようになり、腫瘍と診断される子も増えてきています。腫瘍の中でも肝臓腫瘍は稀であり、肝臓自体は”沈黙の臓器”とも呼ばれ…
4か月前
