2023年4月30日
紐状異物
紐状異物は危険な異物の一つで、特に猫に多く見られます。
消化管は食べ物を消化・吸収するために蠕動運動をしています。紐によって手繰り寄せられた消化管は、蠕動運動によって切り裂かれてしまい消化管穿孔を起こす可能性があります。
消化管裂孔を起こすと消化管の中の食渣や細菌がお腹の中に広がり、激しく炎症を起こして命を落とす危険性があります。
症例:猫、ペルシャ、去勢雄、発症時年齢1歳10か月
頻回嘔吐で来院。
身体検査・血液検査上は大きな異常なし。
エコーで消化管内に紐状異物の所見が見られ、開腹手術で摘出することになりました。


麻酔導入後、舌根部に引っかかった糸を確認。開腹すると小腸まで糸がつながっていました。

糸を引っ張って取り出すのは非常に危険なので、小腸を5か所切開し、少しずつ糸を切断し取り出しました。



術後は元気食欲も元に戻り、無事回復してくれました。
今回の症例は、紐状異物が口から小腸までつながっていたにも関わらず消化管には大きな問題を起こさなかったので、非常に運の良いケースでした。
特に猫さんでは猫じゃらしで遊んでいる時に紐を飲み込んでしまうようなケースが非常に多いです。
診断→治療までを迅速に行うことが大切ですので、実際に飲んだかわからない場合も一度病院に来ていただき、検査をされることをお勧めいたします。
その他の記事
-
副腎皮質機能低下症(アジソン病)について解説 | 最近いつもより元気や食欲がないは病気のサインかも?~検査・診断編~
こちらの記事では副腎皮質機能低下症(アジソン病)の症状について解説していきます。 副腎皮質機能低下症(アジソン病)は特徴的な外豹の変化がないため、検査が重要となって…
8か月前 -
アレルギー食|たくさんありすぎてどれを選んでいいか分からない?種類と使い分けについて
ペットショップや薬局のペットフードコーナーで「アレルギー体質の子向け」と書かれたフードを見かけたり、獣医さんから「アレルギーかも」と言われたことはありますか? アレル…
1年前
-
肝中央区域の腫瘍および胆嚢を一括切除した犬の一例
近年では、獣医療の発達とともに犬猫の長寿化が認められるようになり、腫瘍と診断される子も増えてきています。腫瘍の中でも肝臓腫瘍は稀であり、肝臓自体は”沈黙の臓器”とも呼ばれ…
1か月前 -
犬の弁膜症:僧帽弁閉鎖不全症(MMVD)
犬の弁膜症:僧帽弁閉鎖不全症(MMVD) 僧帽弁閉鎖不全症(以下 MMVD)は犬の心臓病の代表的な疾患です。犬の心臓の構造は人と類似しており、2心房2心室で…
3年前 -
腹腔鏡下肝生検
ワンちゃんやネコちゃんでも健康診断で肝臓の数値が高い子を多くみかけます。一般的には症状がなく、元気そうにみえる子がほとんどですが、重病が隠れていることもあります。 …
2年前 -
犬の口腔内無顆粒性悪性黒色腫
犬の口腔内腫瘍には悪性黒色腫、扁平上皮癌、線維肉腫など様々な種類の腫瘍が発生することが報告されています。この中でも悪性黒色腫は口腔内腫瘍の中で最も発生率の高い腫瘍とされ、半…
2年前 -
先天性門脈体循環シャント
先天性門脈体循環シャントは生まれつき血管に異常のある病気です。なんとなく元気がなかったり、成長が悪かったりと特異的な臨床徴候を出さないこともあり、血液検査をしないとわから…
2年前 -
うっ血性心不全/心原性肺水腫(犬)
心源性肺水腫とは、僧帽弁閉鎖不全症や肥大型心筋症などの心臓病によって心臓内の血液の鬱滞が悪化する事により、肺に血液中の水が押し出され呼吸困難を生じる二次的な病態で…
7年前 -
尾状葉乳頭突起の肝葉切除(肝細胞癌)
犬の肝臓の腫瘍性疾患において一番多く発生する腫瘍は肝細胞癌です。日常の臨床的にもよく遭遇する腫瘍で、発生の形態によって孤立性、多発性、び慢性に分けられます。経過としては徐々…
2年前 -
犬の脱毛|加齢によるもの?病気?
わんちゃんも人と同じように、高齢になると毛の色が変化したり薄くなったりします。これは生理的なものですが、中には病的に脱毛が起こってしまうことがあります。 今回は病的な…
1年前
