ご予約はこちら
受診ご希望、獣医師の方 045-932-5151
企業、法人の方 090-6770-5244
2023年4月30日

胆嚢破裂を起こした胆嚢粘液嚢腫の犬

胆嚢粘液嚢腫は犬の代表的な緊急疾患の一つです。以前にも当院で胆嚢摘出術は数例行っておりますが、今回は胆嚢が合破裂し胆嚢内要物が腹腔内に播種した症例をご報告いたします。

症例 トイプードル 14歳 去勢雄

食欲不振、血尿および頻尿を主訴に来院、緊急医療センターやHDにて治療したが改善が認められないとの事で当院受診されました。血液検査にて肝酵素の上昇およびCRPの上昇、腹部エコー検査にて、胆嚢周囲の高エコーおよび胆嚢壁の不整など胆嚢粘液嚢腫に合致する所見が得られました。同時に膀胱周囲に低エコー性の腫瘤性病変が3つ認められ、血尿や頻尿は当該病変に起因するものと考えられました。

胆嚢粘液嚢腫
膀胱頭側の腫瘤状陰影

入院下内科治療にて血液検査は改善し傾向自力摂も認められましたが、頻尿血尿は改善が認められませんでした。膀胱カテーテル生検やCT検査を行いましたが特異的な所見が認められなかったため胆嚢摘出術及び試験開腹を行いました。

胆嚢は術前の予想通り破裂しており、横隔膜と肝臓と胃にびまん性癒着し正常な胆嚢の構造が認められませんでした。

そのため胆嚢壁を横隔膜、肝臓、消化管からはがし分節的に切除しました。横隔膜に癒着した胆嚢壁は切除することは不可能た判断し、癒着をはがすにとどめました。ある程度切除したのち残存している胆嚢の粘膜をバイポーラで処理し総胆管を洗浄後アクティブドレーンを設置しました。

次に膀胱頭側を観察すると、超音波検査で確認できた低エコー性の腫瘤はすべて胆嚢内要物が漏れ出したものであり(写真)、そこに炎症が波及し膀胱炎症状が生じていたことが判明しました。

全ての内容物をきれいにし、腹腔内を洗浄したのち情報に従って閉腹し術式完了としました。

術後切除しきれなかった胆嚢粘膜から生じた胆汁をアクティブドレーンで回収しながら、癒着を待ちました。その間に生じる消化器症状を抑制し、設置した食道婁チューブから栄養補給すること3週間。見事に胆嚢破裂から復活してくれました。

今ではトリミングを行えるほどに元気になっております。

胆嚢破裂は生命にかかわる怖い病気です。可能な限り早期発見早期治療が理想的と考えております。皆様も定期的な血液検査だけではなく画像検査も行ってくださると幸いです。

その他の記事

  • 犬の足にしこりができたら要注意|考えられる病気と受診の目安を獣医師が解説

    「愛犬の足を触ったら、小さなしこりがあった」
    このような不安を感じて来院される飼い主様は少なくありません。
    犬の足にできるしこりには、良性のものもあれば、早期…

    16時間前
  • 犬の口臭の裏に潜むリスクとは?|考えられる原因と対策を解説

    愛犬の顔に近づいたとき、「いつもより口が臭うかも…」と感じたことはありませんか? こうしたニオイは単なる不快な症状ではなく、犬の体の中で起きている異常を知らせ…

    1年前
  • 猫の会陰尿道造瘻術

     尿石症(腎結石や尿管結石、膀胱結石など)は若い猫ちゃんでも起こる一般的な病気です。猫ちゃんにできやすい結石はストルバイト結石とシュウ酸カルシウムの2種類です。   …

    3年前
  • 犬の股関節脱臼の外科的整復(大腿骨頭切除)

    犬の起こりやすい外科疾患の中に股関節脱臼というものがあります。股関節脱臼は全ての外傷性脱臼の中でも最も発生が多く、全ての年齢に起こり、犬種や性差に関係なく発生します。主…

    2年前
  • 肺高血圧症

    今回の症例は『肺高血圧症(pulmonary hypertension: PH)』です。
    肺高血圧症は肺動脈圧の上昇を主として、様々な疾患から2次的に生じることの多い…

    6年前
  • 紐状異物

    紐状異物は危険な異物の一つで、特に猫に多く見られます。 消化管は食べ物を消化・吸収するために蠕動運動をしています。紐によって手繰り寄せられた消化管は、蠕動運動によって…

    4年前
  • 犬と猫の副腎腫瘍について解説 | よくお水を飲む、尿が薄くて多いは病気の初期症状かも!? ~症状編~

    こちらの記事では副腎腫瘍の症例で良く認められる症状について解説していきます。 副腎腫瘍の性質や種類によって出てくる症状は様々になります。 ぜひ最後までお読みいた…

    1年前
  • 腹腔鏡下にてシャント血管結紮術を実施した犬の1例

    先天性門脈体循環シャントとは、主に若齢の犬や猫で稀に認められる病気です。名前の通り先天的(生まれつき)な病気で、肝臓に流入する血管(門脈)と全身循環(静脈)の間に異常な血…

    2か月前
  • 熱中症

    熱中症とは? 熱中症は高温多湿環境下や過度な運動によって、体内に熱が…

    1年前
  • ネコちゃんに多い内分泌疾患 甲状腺機能亢進症

    甲状腺は喉にあり、甲状腺ホルモンを分泌します。甲状腺から異常にホルモンが分泌されてしまう病気を甲状腺機能亢進症と言います。   診断するにはそれほど複雑…

    2年前