ご予約はこちら
受診ご希望、獣医師の方 045-932-5151
企業、法人の方 090-6770-5244
2025年1月31日

犬の股関節脱臼の外科的整復(大腿骨頭切除)

犬の起こりやすい外科疾患の中に股関節脱臼というものがあります。股関節脱臼は全ての外傷性脱臼の中でも最も発生が多く、全ての年齢に起こり、犬種や性差に関係なく発生します。主に外的な要因(交通事故や落下など)や老化による筋力低下などが原因で起こり、片側性での発生が多いです。

股関節脱臼は特定の犬種(トイ・プードル、ポメラニアン、柴犬など)で発生が多く認められ、上位3犬種だけで半数以上の発生率を占めています。

 

 

今回はこの外傷性股関節脱臼に対して外科的整復を実施した症例をご紹介します。

※股関節脱臼の非観血的整復についてはこちらの記事からご覧ください。


症例

症例は12歳のトイプードルの女の子です。お子さんが乗ってしまい右後肢を挙上しているとの主訴で来院されました。

身体検査にて右後肢の内旋、座骨・腸骨・寛骨のラインがずれ、シット姿勢が認められたので、股関節脱臼を疑いレントゲン検査を実施しました。

この症例では背側方向に脱臼していました。

初発だったため、初めは非観血的整復(バンテージ固定)を実施しましたが、1週間経たずに再脱臼してしまったため、オーナー様と相談し、外科的整復を実施することとなりました。

 

手術

実際の手術写真とともに手術内容を簡潔に紹介します。

 

 

 

 

術後

術後のレントゲン写真になります。

股関節脱臼では、脱臼している大腿骨頭が股関節の骨と摩耗することで動く際に痛みが出てきてしまいます。そのため、痛みの原因となっている大腿骨頭を切除することで痛みのもとがなくなるため痛みから解放されます。

 

術後すぐに負重して歩くことは難しいことが多いですが、リハビリを続けていくと次第に負重が可能になり、通常通り歩けるようになることが多いです。

この症例ではお家でもリハビリを頑張ってくれたため、術後3週間程度である程度負重をかけて歩くことが可能となりました。小型犬では体重が軽いため、このように通常通り歩くことが可能になる子が多いです。

 


今回は外傷性股関節脱臼の外科的整復についてご紹介しました。

びっこを引く、歩き方や座り方がおかしい場合は整形疾患を患っている可能性があります。

関節疾患などはサプリメントが有用な場合もありますので、サプリメントの併用もお勧めいたします。詳しくは獣医師と相談してください。

 

※他の整形外科疾患についてはこちらをご覧ください。

その他の記事

  • 犬の甲状腺機能低下症について | 元気がないや皮膚症状は甲状腺機能低下症の初期症状かも?

    " 最近元気がない " や " 皮膚症状が出てくるようになった " といった症状が見られることはありませんか?もしかしたら、甲状腺機能低下症の初期症状かもしれません。 …

    10か月前
  • 膝蓋骨脱臼の整復

     膝蓋骨脱臼は小型犬に多い整形疾患です。膝蓋骨が大腿骨の滑車溝から外れてしまうことで膝関節伸展機構が正常に機能せず、膝をうまく伸ばせない状態になってしまいます。典型的な臨床…

    3年前
  • 犬の瞬膜腺脱出(チェリーアイ)とは? | 実際の手術写真を使って解説

    瞬膜腺とは内眼角側にあるT字型の軟骨を支えに存在しています。この瞬膜は眼球の物理的な保護、眼脂の除去、涙を眼球に広げてくれるなどの働きがあり、瞬膜の裏側に存在するのが瞬膜腺…

    1年前
  • 2024年の春の健康診断まとめ

    今年も春の予防シーズンが落ち着き、夏本番が近づいてきていますね。今年は早い時期から猛暑が続いているので、熱中症には十分気をつけて下さい。 ここからは、今年度の4~6月…

    2年前
  • 犬と猫の副腎腫瘍について解説 | よくお水を飲む、尿が薄くて多いは病気の初期症状かも!? ~治療編~

    こちらの記事では副腎腫瘍の症例での必要な治療について解説していきます。 副腎腫瘍の治療では大きく外科治療と内科治療に大きく分けられます。 それぞれの治療法を解説…

    11か月前
  • 最新の論文から考える〜犬の避妊手術、いつやるの?〜

    はじめに 犬の避妊手術の適期は、犬種や性別によって大きく異なります。一般的なガイドラインを全ての犬に適用することはできず、個々の犬の健康状態や生活状況を考慮した個別化…

    10か月前
  • 犬と猫の副腎腫瘍について解説 | よくお水を飲む、尿が薄くて多いは病気の初期症状かも!? ~症状編~

    こちらの記事では副腎腫瘍の症例で良く認められる症状について解説していきます。 副腎腫瘍の性質や種類によって出てくる症状は様々になります。 ぜひ最後までお読みいた…

    11か月前
  • 先天性疾患 心膜横隔膜ヘルニア整復

    腹膜心膜横隔膜ヘルニア(Peritoneopericardial Diaphragmatic Hernia;PPDH)は、「心膜横隔膜ヘルニア」とも呼ばれる、先天的に発生す…

    12か月前
  • 犬の脾臓腫瘍

    犬の脾臓腫瘍は中・高齢で好発し、1/3~1/2が悪性とされています。腫瘍破裂や出血により劇症を呈することもあれば、症状が認められない場合も少なくありません。今回紹介…

    3年前
  • 右骨盤部分切除および断脚を実施した犬の1例を紹介します

    四肢(足)に発生する腫瘍は悪性のものが多く、大型犬の中高齢で特に多く見られ、急速に進行していくのが特徴です。症状としては足の腫れや跛行(びっこ)が主な症状になります。 …

    4か月前