犬・猫の去勢手術
【去勢手術のタイミングは?】
去勢手術をするにあたって、この時期・この年齢に必ず受けないといけないというものはございません。しかし、子犬・子猫ちゃんの場合は、性成熟をすることで問題行動が出てきてしまうため、性成熟をする前の生後6か月前後を目安に手術をされることをお勧めしております。

※去勢手術の適切な時期には個体差がありますので獣医師にご相談下さい。
【手術様式】
<犬の去勢手術>
初めに片側の精巣を用手にて陰茎尾側部に牽引後、精巣直上部に切開を加えます。
総鞘膜まで切開し、中の精巣を露出させます。

精巣上体部に付着している総鞘膜をモスキート鉗子にて分離し、露出した精巣を体外に牽引します。
精巣動静脈と精管を2本まとめて3カ所結紮し、結紮間を切離することで摘出します。

摘出後は出血確認をし、断端を陰嚢内に戻します。
反対側も同様に摘出後、皮内および皮膚をそれぞれ2~3か所ずつ縫合したら手術終了となります。

<猫の去勢手術>
猫では、片側の精巣を陰嚢正中部で把持し、精巣直上部に切開を加えます。
総鞘膜まで切開していき、精巣を露出させます。

精巣上体部に付着している総鞘膜をモスキート鉗子にて分離し、精巣を体外に牽引します。
精巣動静脈と精管をモスキート鉗子にて2本まとめて結紮し、切離することで精巣を摘出します。

摘出後は出血確認をし、断端を陰嚢内に戻します。
反対側も同様に摘出し、陰嚢内に戻したら手術は終了となります。

猫ちゃんの場合は、皮膚や皮下縫合はせずに手術終了となります。
去勢手術を実施するにも様々なメリットやデメリットが存在します。
近年での報告では去勢手術をすることにより寿命が延びるとの報告もあります。
当院ではきちんとメリット・デメリットについて説明し御理解いたただいた上で、去勢手術を実施しております。
※メリット・デメリットについてはこちらの記事で説明していますので、併せてご参照ください。
その他の記事
-
消化器科
『消化器疾患』吐出、嘔吐や下痢、食欲不振や体重減少などが認められたら消化器疾患を考えます。消化器とは、口、のど、食道、胃、小腸(十二指腸・空腸・回腸)、大腸、肛門まで続く消…
2年前 -
2022年の健康診断のまとめ
季節が過ぎるのは早いもので、あっという間に新年度を迎えました。 今年もワンちゃんのフィラリアの検査・予防が始まる時期になりました。 当院ではフィラリアの予防を始…
2年前
-
犬の弁膜症:僧帽弁閉鎖不全症(MMVD)
犬の弁膜症:僧帽弁閉鎖不全症(MMVD) 僧帽弁閉鎖不全症(以下 MMVD)は犬の心臓病の代表的な疾患です。犬の心臓の構造は人と類似しており、2心房2心室で…
2年前 -
胆嚢摘出術および総胆管ステント設置を実施した犬の1例
胆嚢粘液嚢腫とは、胆嚢内に可動性の乏しい胆汁由来の粘液状物質が過剰に貯留した状態です。この粘液状物質が過剰に貯留してしまうと胆嚢拡張を起こしたり、胆汁の流れ出る通り道である…
1か月前 -
腫瘍科
獣医療の発展に伴いペットの長寿化が進み、ペットの死因でも悪性腫瘍(ガン)が上位を占めるようになってきました。 犬の平均寿命 14.76 歳、猫の平…
2年前 -
ネコちゃんに多い内分泌疾患 甲状腺機能亢進症
甲状腺は喉にあり、甲状腺ホルモンを分泌します。甲状腺から異常にホルモンが分泌されてしまう病気を甲状腺機能亢進症と言います。 診断するにはそれほど複雑…
7か月前 -
犬の口腔内無顆粒性悪性黒色腫
犬の口腔内腫瘍には悪性黒色腫、扁平上皮癌、線維肉腫など様々な種類の腫瘍が発生することが報告されています。この中でも悪性黒色腫は口腔内腫瘍の中で最も発生率の高い腫瘍とされ、半…
1年前 -
腹腔鏡下肝生検
ワンちゃんやネコちゃんでも健康診断で肝臓の数値が高い子を多くみかけます。一般的には症状がなく、元気そうにみえる子がほとんどですが、重病が隠れていることもあります。 …
1年前 -
低侵襲手術(内視鏡を用いた膀胱結石の摘出)
膀胱結石は犬、猫ともに発生頻度の多い泌尿器疾患です。体質により再発を繰り返すことが多いですが、手術時に細かな結石を取り残してしまうことによって術後早期に膀胱内に結石が確認…
2年前 -
胆泥症・胆嚢粘液嚢腫
胆嚢とは、肝臓で作られた胆汁の貯留を行う臓器で、方形葉と内側右葉に埋まるように位置しています。胆嚢から発生する疾患には胆石、胆泥、胆嚢粘液嚢腫および胆嚢炎などがあります。…
3年前