ご予約はこちら
受診ご希望、獣医師の方 045-932-5151
企業、法人の方 090-6770-5244
2026年4月21日

幽門狭窄の症例に対して内視鏡下でポリペクトミーを実施した犬の1例

ご飯を食べてから時間が経っているのに吐き戻すなんてことはありませんか?

嘔吐という症状はよく認められる症状のひとつなため、どんな疾患でも考えられるものになります。今回はこの嘔吐の原因の一つになる幽門部狭窄について解説していきます。

📌目次

幽門狭窄とは?

幽門狭窄とは、胃と小腸を繋ぐ幽門部(胃の出口)が何らかの原因で狭くなることによって、胃の内容物が胃から流れにくくなる病気です。

この病気には生まれつき(先天性)のものと、後から出てくる(後天性)ものに分けられます。先天性のものは良性幽門筋肥大ともよばれ、ボストン・テリア、ブルドッグ、ボクサーなどの短頭種に多いとされています。後天性のものには、胃炎や異物、ポリープや腫瘍などによって二次的に発生します。中高齢の短頭種、特にシー・ズーやマルチーズなどの小型犬での発生が多いとされています。

症例情報

今回の症例は4歳9カ月のシー・ズーの女の子です。食欲はあるが、食べると吐いてしまうとの主訴で他院を受診。セカンドオピニオンとして当院を受診されました。

検査

他院でレントゲン検査を実施し、胃拡張が認められていました。

超音波検査の結果、胃の幽門部に壁の肥厚が認められました。

検査の結果、幽門部の壁の肥厚(粘膜の過形成や腫瘍、ポリープなど)による通過障害が疑われました。

実際の内視鏡写真

幽門部狭窄が疑われたため、内視鏡検査を実施することとなりました。

内視鏡検査にて幽門部のポリープが認められたため、内視鏡下にてポリープを切除しました。

病理組織学的検査

病理組織学的検査の結果は、粘膜過形成性ポリープとの診断でした。

粘膜過形成性ポリープは良性腫瘤になるため、切除により通過障害が改善されれば予後は良好となります。

まとめ

幽門を狭窄するような胃内異物の場合は、摘出が可能で穿孔などの合併症がなければ予後は良好になります。また、外科的矯正を行った場合の予後も一般的には良好ではありますが、なかには術後期待通りに排出が改善しないこともあります。そのため、処置を実施した後も注意が必要になります。

他の消化器疾患について⇨こちらから

他のセカンドオピニオンについて⇨こちらから


 

Q&A

Q. どんな症状が出てきますか?

A. 主に嘔吐が認められます。食事をしてから数時間以上経ってから、消化された食事を吐くことが多く、他にも食欲低下や体重減少などが認められます。

 

Q. 原因は何がありますか?

A. 原因には先天性のものと後天性のものがあります。先天性のものには、ボストン・テリア、ブルドッグ、ボクサーなどの短頭種などに発生するもの。後天性のものには、胃炎や異物、ポリープや腫瘍などによって二次的に発生するものがあります。中高齢の短頭種、特にシー・ズーやマルチーズなどの小型犬での発生が多いとされています。

 

Q. どのような検査をしますか?

A. 幽門狭窄の診断には、主に画像検査と病理組織学的検査によって実施されます。バリウムを用いたレントゲン検査や、超音波検査、内視鏡検査などを用いて総合的に判断します。

 

Q. 治療はどんなことをしますか?

A. 物理的な閉塞の場合には、内視鏡や開腹手術による摘出が必要となる場合があります。対して機能的な閉塞の場合には、内科療法や食事療法が適応となる場合があります。

その他の記事

  • 肝中央区域の腫瘍および胆嚢を一括切除した犬の一例

    近年では、獣医療の発達とともに犬猫の長寿化が認められるようになり、腫瘍と診断される子も増えてきています。腫瘍の中でも肝臓腫瘍は稀であり、肝臓自体は”沈黙の臓器”とも呼ばれ…

    3か月前
  • 内視鏡で誤食した釣り針を摘出

    釣り針を食べてしまったとの事で来院した7カ月のワンちゃん。 X線検査を実施すると胃の中に釣り針が・・・。 釣り針のような尖ったものは…

    4年前
  • 腫瘍科

     獣医療の発展に伴いペットの長寿化が進み、ペットの死因でも悪性腫瘍(ガン)が上位を占めるようになってきました。   犬の平均寿命 14.76 歳、猫の平…

    3年前
  • 心室中隔欠損症(VSD)

     心臓は、様々な臓器に酸素を供給するために血液を送り出す器官です。  全身に酸素を供給した血液(=酸素が少ない血液。青い部分)を取り込んで、肺で酸素を取り込んだ血液(…

    3年前
  • 犬と猫の高カルシウム血症について

    普段血中のカルシウム濃度は厳密に調整されていますが、恒常性が破綻してしまうと高カルシウム血症が生じてしまいます。軽度の高カルシウム血症の場合は無症状のことが多く、偶発的に見…

    2年前
  • 肝生検

    健康診断で『肝臓の数値が高いですね』と言われたことや過去に『黄疸があり大変厳しい病気です』と動物病院で診断されたことはありませんか? 猫ちゃんの肝臓の病気は栄養性、感…

    6年前
  • ”麻酔前検査”をお勧めしています

    手術をするにあたって、人の場合と同様に犬ちゃん猫ちゃんにも全身麻酔をかける必要があります。麻酔前検査では、この全身麻酔が安全にかけられるかどうかを評価するための検査となり…

    3年前
  • 副腎皮質機能低下症(アジソン病)について解説 | 最近いつもより元気や食欲がないは病気のサインかも?~治療編~

    こちらの記事では副腎皮質機能低下症(アジソン病)の症例で必要な治療について解説していきます。 副腎皮質機能低下症(アジソン病)は、生涯にわたる投薬が必要になりますが…

    10か月前
  • セカンドオピニオン

    セカンドオピニオンとは、現在受けている治療や診断に関して第二の意見を求めることを言います。 当院ではセカンドオピニオンで来られた患者さまに対してまず丁寧にお話を聞くこ…

    3年前
  • 紐状異物

    紐状異物は危険な異物の一つで、特に猫に多く見られます。 消化管は食べ物を消化・吸収するために蠕動運動をしています。紐によって手繰り寄せられた消化管は、蠕動運動によって…

    3年前