ご予約はこちら
受診ご希望、獣医師の方 045-932-5151
企業、法人の方 090-6770-5244
2022年9月11日

全耳道切除・鼓室法切開

慢性外耳炎・中耳炎

 慢性外耳炎は、日常の診療でよく遭遇する疾患です。この疾患はどの犬種にも生じますが、特にアメリカン・コッカー・スパニエルやシーズーなど原発性脂漏症に続発し、管理困難になる犬種が存在します。他の犬種であっても、原因にアレルギーなど背景疾患が存在する場合や、薬剤耐性菌が悪化要因になっている場合は治療が難航することが多く、臨床医や飼い主様を困らせる疾患です。今回は集中的に内科療法を行ったにも関わらず反応が乏しく、中耳炎を発症したため外科的治療に移行した症例をご紹介いたします。

 

症例

犬種:フレンチ・ブルドッグ

年齢:7歳2ヶ月

性別:避妊メス

既往歴 皮膚アレルギー疾患 既往歴

経過

以前から慢性外耳炎を繰り返しており、右の鼓膜前の垂直耳道の肥厚が重度で閉塞が認められました。内科治療を約2ヶ月ほど集中的に行ったが治療反応が乏しかったため、全耳道切除を計画し同時にCT検査を実施致しました。

右耳道内に占拠性病変(黄色〇)
右鼓室包内に占拠性病変(ピンク〇)

CT検査では、右側水平耳道及び鼓室包内に占拠性病変認めたため外耳道閉塞及び中耳炎の併発と判断し全耳道切除に加えて鼓室包切開術も併せて行いました。

全耳道切除術および鼓室包切開術

外耳道開口部の周囲を切開し垂直耳道を剥離していきます。水平耳道の剥離を行う際には尾腹側に顔面神経が走行しているので傷つけないように気を付けて剥離を行います。鼓室包に達したら外耳道を切断ます。外耳道を切除し終えたらロンジュールや電動ドリルを使用し骨切りを行い鼓室包にアプローチしていきます。

鼓室包から細菌培養検査用のサンプルを採取したのち、鋭匙などを使用し、腰包内に充満している閉塞物質を残らず除去します。最後に洗浄、ドレーン設置及び縫合を行い終了としました。

この症例は病院に通院する頻度も減少し良好なQOLを維持できるようになりました。

その他の記事

  • 肥満細胞腫

    肥満細胞腫は、犬の皮膚腫瘍のうち20%前後を占めるため、犬の腫瘍では遭遇することの多い疾患にあたります。主にしこりの付近のリンパ節、続いて肝臓、脾臓へ転移することも多いため…

    4年前
  • 腹腔鏡下にてシャント血管結紮術を実施した犬の1例

    先天性門脈体循環シャントとは、主に若齢の犬や猫で稀に認められる病気です。名前の通り先天的(生まれつき)な病気で、肝臓に流入する血管(門脈)と全身循環(静脈)の間に異常な血…

    2か月前
  • 総合診療科

    例えば、嘔吐や下痢が認められれば、何となく消化器が悪いのかな?と考えることができますし、咳をしていれば呼吸器かな?と予測することができます。しかし、「なんかいつもと様子が違…

    3年前
  • 犬と猫の慢性腎臓病(CKD)について解説 | 多尿や体重減少は慢性腎臓病の初期症状かもしれません! ~治療編~

    こちらの記事では慢性腎臓病(CKD)の治療法について解説していきます。 今までの記事でも解説した通り、慢性腎臓病の治療法はステージによって治療も異なります。 …

    9か月前
  • リンパ節生検を実施した犬の小細胞性リンパ腫/慢性リンパ球性白血病(CLL)の症例

     慢性リンパ球性白血病(CLL)は腫瘍化したリンパ系細胞が分化能を有しているために成熟リンパ球が増加する疾患で、腫瘍性病変の原発部位が骨髄である場合は慢性リンパ性白…

    2年前
  • 膝蓋骨脱臼の整復

     膝蓋骨脱臼は小型犬に多い整形疾患です。膝蓋骨が大腿骨の滑車溝から外れてしまうことで膝関節伸展機構が正常に機能せず、膝をうまく伸ばせない状態になってしまいます。典型的な臨床…

    3年前
  • 内視鏡で誤食した釣り針を摘出

    釣り針を食べてしまったとの事で来院した7カ月のワンちゃん。 X線検査を実施すると胃の中に釣り針が・・・。 釣り針のような尖ったものは…

    4年前
  • 犬の乳腺腫瘍

     犬の乳腺腫瘍とは、雌犬で一般的に認められる腫瘍であり、雌犬の全腫瘍中52%を占め、約半数が悪性です。臨床徴候としては乳腺内に単一または多発性に結節を認め、悪性の場合は急速…

    3年前
  • 先天性門脈体循環シャント

     先天性門脈体循環シャントは生まれつき血管に異常のある病気です。なんとなく元気がなかったり、成長が悪かったりと特異的な臨床徴候を出さないこともあり、血液検査をしないとわから…

    3年前
  • 犬や猫だけでなく、ヒトにも感染する”SFTS”について

    SFTS(重症熱性血小板減少症候群)とは、マダニを媒介してヒトや動物に感染するウイルス性の人獣共通感染症です。2013年に初めて国内患者の発生が認められ、西日本を中心に発生…

    3か月前