ご予約はこちら
受診ご希望、獣医師の方 045-932-5151
企業、法人の方 090-6770-5244
2020年4月1日

副腎腫瘍

副腎腫瘍にはいくつか分類があり、その由来として副腎皮質由来か副腎髄質由来かで分けられ、ホルモンを実際に産生・分泌するかどうかで機能性のものと非機能性のものに分けられます。副腎皮質機能亢進症の疑いがある場合は、下垂体性のものとの区別も考慮し、ACTH刺激試験、低用量・高用量デキサメタゾン抑制試験、腹部エコー図検査、CT検査等を実施し、分類していきます。しかし、実際には臨床症状や検査の段階で判断することが難しい場合があるため、確定診断に至るには摘出後の病理組織診断が必要となります。

(小動物腫瘍臨床 Joncol 7-11p 2015.7 ファームプレス より)

ダックスフンド(ミニチュア) 10歳 未避妊雌
子宮蓄膿症の検査のため腹部エコー図検査を実施したところ両副腎の腫大を確認しました(左側副腎が2cm程度、右側副腎が1cm程度に種大)。ACTH刺激試験を実施しましたが診断に至ることができなかったため、飼い主様の希望もありCT検査を実施しました。下垂体の明らかな腫大は無く、両副腎の腫大が認められました。その後、左側副腎の全摘出ならびに子宮卵巣摘出術を行いました。
結果:『副腎皮質癌』
※写真は腹部エコー図検査の画像、手術中の画像、ならびに摘出した腫瘍の画像となります。

術後はアジソン病の徴候もなく良好で、術後3日で退院しました。
しかし、術後10日ほど経過した後反対側の右副腎を腹部エコー図検査で確認したところ、1.5cm程度まで代償的に大きくなっていました。今後は血栓の予防とあわせて、1ヶ月ごとの腹部エコー図検査と血液検査を行いながら経過を追っていくことにしています。

今回の症例では下垂体の腫大が無い状況下で両副腎の腫大が認められた症例でした。両側腫大した副腎を摘出し病理組織診断を行った結果、両側共に副腎皮質腺癌だったという報告もあるため、腫大している副腎がどちらも機能性なのか、片方だけが非機能性なのかは病理組織診断やその後の経過によって判断する必要があると考えられます。

その他の記事

  • 胆嚢摘出術および総胆管ステント設置を実施した犬の1例

    胆嚢粘液嚢腫とは、胆嚢内に可動性の乏しい胆汁由来の粘液状物質が過剰に貯留した状態です。この粘液状物質が過剰に貯留してしまうと胆嚢拡張を起こしたり、胆汁の流れ出る通り道である…

    1年前
  • 2026年 春の健康診断の結果をまとめました!

    この春も多くのわんちゃん、ねこちゃんに健康診断をご利用いただき、ありがとうございました。健康診断は、見た目は元気でも隠れている病気や体の変化を早期に見つけるための大切な機会…

    3か月前
  • 最新の論文から考える〜犬の避妊手術、いつやるの?〜

    はじめに 犬の避妊手術の適期は、犬種や性別によって大きく異なります。一般的なガイドラインを全ての犬に適用することはできず、個々の犬の健康状態や生活状況を考慮した個別化…

    11か月前
  • 尾状葉乳頭突起の肝葉切除(肝細胞癌) 

    犬の肝臓の腫瘍性疾患において一番多く発生する腫瘍は肝細胞癌です。日常の臨床的にもよく遭遇する腫瘍で、発生の形態によって孤立性、多発性、び慢性に分けられます。経過としては徐々…

    2年前
  • 当院での避妊手術について、詳しい手術方法を解説します

     皆さんが飼われているペットさんは避妊手術・去勢手術はされましたか?今回は当院での避妊手術について紹介したいと思います。  当院での避妊手術は「子宮卵巣摘出術」を採用…

    3年前
  • 副腎皮質機能低下症(アジソン病)について解説 | 最近いつもより元気や食欲がないは病気のサインかも?~検査・診断編~

    こちらの記事では副腎皮質機能低下症(アジソン病)の症状について解説していきます。 副腎皮質機能低下症(アジソン病)は特徴的な外豹の変化がないため、検査が重要となって…

    11か月前
  • 犬・猫の去勢手術

    【去勢手術のタイミングは?】 去勢手術をするにあたって、この時期・この年齢に必ず受けないといけないというものはございません。しかし、子犬・子猫ちゃんの場合は、性成熟を…

    3年前
  • 腫瘍科

     獣医療の発展に伴いペットの長寿化が進み、ペットの死因でも悪性腫瘍(ガン)が上位を占めるようになってきました。   犬の平均寿命 14.76 歳、猫の平…

    3年前
  • 皮膚科

     皮膚疾患はワンちゃんや猫ちゃんが予防以外で動物病院を受診する理由としてTOP3に入り、当院でも皮膚疾患で受診される方が多くいらっしゃいます。「痒がっている」、「皮膚が赤く…

    3年前
  • 内視鏡で誤食した釣り針を摘出

    釣り針を食べてしまったとの事で来院した7カ月のワンちゃん。 X線検査を実施すると胃の中に釣り針が・・・。 釣り針のような尖ったものは…

    4年前