ご予約はこちら
045-932-5151
2023年8月22日

泌尿器科

 泌尿器とは泌尿器とは、腎臓、尿管、膀胱、尿道などからなる器官の総称で、血液をろ過して尿を作り、体内の水分や塩分のバランスを調整する働きをします。

 高齢になると腎臓の機能が衰えていき慢性の腎臓病になることがありますが、膀胱炎や尿路結石などは若齢でもなることがあります。特に猫ちゃんでは尿管結石や膀胱結石で手術が必要になる子もいます。

 

 泌尿器の検査として比較的簡単に実施できるのが尿検査です。自宅で採取ができれば動物を連れて行かなくても検査ができます。特に猫ちゃんでお出かけが苦手な子は尿検査だけでも定期的に実施できるといいでしょう。尿検査では尿に血が混ざっていないか、膀胱炎を起こしていないか、結晶(結石の成分)が出ていないかを調べることができます。また、尿の比重(濃さ)を調べることで腎臓の機能や糖尿病などのホルモンの病気を推測することもできます。細菌がいるかどうかを正確に調べるためには病院で新鮮な尿を採取する必要がありますが、自宅で採取した尿でもいろんな情報を得ることができます。ただし、注意事項としては採取してから3時間以内の検査が望ましく、病院に持ってくるまでは冷蔵庫で保管していただく必要があります。

 

尿
尿検査試験紙
尿結晶(顕微鏡で観察)

 

 腎臓の機能を調べるためには血液検査も有用です。当院では「SDMA」という腎機能の低下を早期に発見できる特殊な血液検査も院内で実施できます。また一般的な(BUN、CRE、電解質、Ca、IP)といった数値に加えて末期になると低下してしまう重炭酸も血液ガスの機械で測定することができます。

 定期的な検査を実施することでその都度適切な治療を提案させていただきます。

IDEXX Catalyst One
ABL9:血液ガス分析装置

 

 また、腎臓や膀胱の形態的な変化を調べるために画像検査をすることもあります。ワンちゃん、猫ちゃん共に若齢でも尿路結石が認められることがあるため、膀胱炎の症状がある時には超音波検査で膀胱を確認することが多いです。また、若齢~中齢の猫ちゃんでは、急な嘔吐などの臨床徴候がでた時に尿管結石が詰まっていることもあり、そのまま放っておくと腎臓が機能しなくなってしまうことがあるので注意が必要です。高齢のワンちゃんでは膀胱腫瘍などが考えられるので血尿等が出ているときには超音波検査を実施するのが良いでしょう。

膀胱結石
膀胱腫瘍
水腎症(尿管結石)

 

 当院では泌尿器に対する治療は内科治療、外科治療どちらも対応させていただいています。特に外科治療は緊急性を要する疾患もありますのでお困りの際には一度お問い合わせをいただければと思います。

 

膀胱結石(低侵襲手術、会陰尿道造瘻)

尿管結石(尿管切開、尿管膀胱新吻合、SUBシステム設置)

腎盂腎炎

・膀胱腫瘍

・慢性腎臓病

・腎臓腫瘍

その他の記事

  • ネコちゃんに多い内分泌疾患 甲状腺機能亢進症

    甲状腺は喉にあり、甲状腺ホルモンを分泌します。甲状腺から異常にホルモンが分泌されてしまう病気を甲状腺機能亢進症と言います。   診断するにはそれほど複雑…

    6か月前
  • 猫の盲腸腺癌

    猫の体重減少には様々な原因があります。甲状腺機能亢進症や慢性腎不全、糖尿病や腫瘍などが代表的な疾患です。特に、このような病気は急激に体調に変化をもたらすわけではなく、ゆっく…

    3年前
  • 胆嚢摘出術および総胆管ステント設置を実施した犬の1例

    胆嚢粘液嚢腫とは、胆嚢内に可動性の乏しい胆汁由来の粘液状物質が過剰に貯留した状態です。この粘液状物質が過剰に貯留してしまうと胆嚢拡張を起こしたり、胆汁の流れ出る通り道である…

    4週間前
  • 糖尿病性ケトアシドーシス

    糖尿病性ケトアシドーシスとは内科エマージェンシーの1つであり、糖尿病が進行して発症します。発症メカニズムとしては、インスリン不足によりブドウ糖の細胞内への取り込みが減り、代…

    5年前
  • 肝生検

    健康診断で『肝臓の数値が高いですね』と言われたことや過去に『黄疸があり大変厳しい病気です』と動物病院で診断されたことはありませんか? 猫ちゃんの肝臓の病気は栄養性、感…

    5年前
  • 犬の尿石症について ~症状や治療法について説明します~ 

    尿石症とは?

    尿石症とは、腎臓や尿管、膀胱、尿道などの尿路のいずれかの部位に結石ができる病気です。結石が存在する部位によって、…

    2か月前
  • 発作重責・脳炎

    犬によく見られる特発性髄膜脳脊髄炎の一種で、多因性の疾患であり、明確な原因は不明です。臨床症状は大脳病変の部位によって異なり、発作や虚弱、旋回運動、視覚障害などを呈し、最終…

    6年前
  • 角膜疾患(潰瘍性角膜炎)

    角膜疾患とは、角膜、いわゆる黒目の部分に起こる疾患を指します。角膜疾患では「目を開けずらそう」「涙や目ヤニの量が多い」「まぶしそうにしている」という症状がよく見られます。 …

    2年前
  • 犬の弁膜症:僧帽弁閉鎖不全症(MMVD)

    犬の弁膜症:僧帽弁閉鎖不全症(MMVD)   僧帽弁閉鎖不全症(以下 MMVD)は犬の心臓病の代表的な疾患です。犬の心臓の構造は人と類似しており、2心房2心室で…

    2年前
  • 胆泥症・胆嚢粘液嚢腫

     胆嚢とは、肝臓で作られた胆汁の貯留を行う臓器で、方形葉と内側右葉に埋まるように位置しています。胆嚢から発生する疾患には胆石、胆泥、胆嚢粘液嚢腫および胆嚢炎などがあります。…

    3年前