ご予約はこちら
045-932-5151
2026年2月6日

犬と猫の慢性腎臓病(CKD)について解説 | 多尿や体重減少は慢性腎臓病の初期症状かもしれません! ~治療編~

こちらの記事では慢性腎臓病(CKD)の治療法について解説していきます。

今までの記事でも解説した通り、慢性腎臓病の治療法はステージによって治療も異なります。

腎臓病の治療法について気になる方はぜひ参考にしてみてください。

治療法は?

慢性腎臓病では、現在のステージによって推奨される治療法が異なってきます。すでに破壊されてしまった腎臓の組織は治療をしても回復しません。そのため、血液中の老廃物や毒素を体内に貯めすぎないようにして体調を維持すること、慢性腎臓病の進行をできるだけ緩やかにすることが治療の主体となります。

◎ ステージ1

・可能な限り腎毒性のある薬剤(NSAIDsや抗菌薬など)の使用を中止します。また、腎前性、腎後性の異常があればその治療を行います。

・高血圧、持続的な蛋白尿(UPC:犬>0.5、猫>0.4)や高リン血症がみられる場合は、内服薬やサプリメントが必要になることがあります。

・食事は腎臓療法食を開始し、新鮮な水を常に飲めるようにしておくと良いです。定期的に血液検査を実施し悪化していないかを確認することも大切です。

◎ ステージ2

ステージ1の治療に加えて、臨床兆候に応じた追加の治療が行われます。

◎ ステージ3

ステージ2までの治療を継続しつつ以下の治療が追加で推奨されます。

・貧血を呈している場合はエリスロポイエチン製剤の使用、嘔吐や食欲不振がみられる場合は制吐剤や補液(水和状態の維持)を行います。入院が必要になることもあります。

・リンは<5.0mg/dlに維持することが理想です。

◎ ステージ4

ステージ3までの治療を継続しつつ以下の治療が追加で推奨されます。

・定期的な補液や積極的な治療が必要になることが多いです。食事が取れない場合は食欲増進剤や栄養チューブ(経鼻カテーテルや経食道/胃チューブなど)の設置が検討されます。

・リンは<6.0mg/dlに維持することが理想です。

慢性腎臓病の療法食
慢性腎臓病に対するお薬
皮下点滴される猫ちゃん

まとめ

これまで解説した通り、腎臓病は基本的には治らない病気になります。そのため、いかに早く発見できるかや、いかに進行を遅らせることが出来るかが重要となります。

早期発見のためには、お家で少しでも様子がおかしいと思ったら病院へ連れてきてもらうことや、定期的な健康診断がお勧めとなります。まずは年に1度からでも構いませんので健康診断をしてみることをお勧めいたします。

⇨健康診断についてはこちらから

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

 

こちらのリンクよりそれぞれのページに移行できますので、ぜひご参考にして下さい。

 

慢性腎臓病とはこちらから

よく見られる症状について⇨こちらから

▼ 検査および診断について⇨こちらから

Q&A

Q. 慢性腎臓病は治りますか?

A. 完治することは出来ませんが、症状を遅らせることは可能です。

 

Q. 慢性腎臓病の子の食事はどうしたらいいですか?

A. 食事については腎臓病のステージによって、お勧めの種類が変わってきます。ある程度ステージが進行している場合には、蛋白質やリン、カルシウムなどの成分が調整されている療法食が推奨される場合があります。

 

Q. 早期発見のためにはどうしたらいいですか?

A. 多飲多尿、食欲不振、体重減少などの症状が出てきた場合には注意が必要です。

 また、定期的な検診を実施することも早期発見に繋がります。

その他の記事

  • 腹腔鏡補助下で実施した潜在精巣摘出術

     潜在精巣とは片側または両側の精巣が陰嚢内に下降していない状態をいいます。ビーグルや雑種犬における精巣下行のタイミングは生後30~40日と言われており、2ヶ月齢の時点で精巣…

    2年前
  • 皮膚科

     皮膚疾患はワンちゃんや猫ちゃんが予防以外で動物病院を受診する理由としてTOP3に入り、当院でも皮膚疾患で受診される方が多くいらっしゃいます。「痒がっている」、「皮膚が赤く…

    3年前
  • 2022年の健康診断のまとめ

    季節が過ぎるのは早いもので、あっという間に新年度を迎えました。 今年もワンちゃんのフィラリアの検査・予防が始まる時期になりました。 当院ではフィラリアの予防を始…

    3年前
  • 副腎皮質機能低下症(アジソン病)について解説 | 最近いつもより元気や食欲がないは病気のサインかも?

    最近 ”少し元気がない"や"食欲がいつもよりない"などの症状が見られることはありませんか? 副腎の病気には機能が下がってしまう、副腎皮質機能低下症(アジソン病)とい…

    4か月前
  • 角膜疾患(潰瘍性角膜炎)

    角膜疾患とは、角膜、いわゆる黒目の部分に起こる疾患を指します。角膜疾患では「目を開けずらそう」「涙や目ヤニの量が多い」「まぶしそうにしている」という症状がよく見られます。 …

    2年前
  • 糖尿病性ケトアシドーシス

    糖尿病性ケトアシドーシスとは内科エマージェンシーの1つであり、糖尿病が進行して発症します。発症メカニズムとしては、インスリン不足によりブドウ糖の細胞内への取り込みが減り、代…

    6年前
  • 肥満細胞腫

    肥満細胞腫は、犬の皮膚腫瘍のうち20%前後を占めるため、犬の腫瘍では遭遇することの多い疾患にあたります。主にしこりの付近のリンパ節、続いて肝臓、脾臓へ転移することも多いため…

    4年前
  • 両側に胸腔ドレーンを設置し救命した膿胸の猫

    救急診療時間内にきた膿胸の猫の一例を紹介いたします。   症例 雑種猫 1歳 避妊メス 数日前から元気がなく今日になって呼吸が苦しそうとのことで来院されました。…

    2年前
  • 尿管結石摘出術

      尿管結石は文字通り腎臓と膀胱をつなぐ『尿管』に結石が詰まってしまい、二次的に腎臓に損傷が生じる疾患です。片方の尿管に閉塞しただけでは主だった症状は認められませんが…

    3年前
  • 犬の椎間板ヘルニア

     椎間板ヘルニアは、犬において最も遭遇する頻度の高い神経疾患の一つです。椎間板は椎骨間(背骨と背骨の間)の緩衝材として存在しています。この椎間板が変性し、脊髄を圧迫すること…

    3年前