犬と猫の慢性腎臓病(CKD)について解説 | 多尿や体重減少は慢性腎臓病の初期症状かもしれません! ~検査および診断編~
こちらでは、慢性腎臓病(CKD)における必要な検査および診断について解説していきます。
慢性腎臓病には大きく4つのステージがあり、どのステージにいるのかで治療法や予後が変わってきます。そのため、現在のステージを知ることは非常に重要なことです。
少しでも慢性腎臓病について知りたい方はぜひこちら記事をご参考にください。

必要な検査および診断
慢性腎臓病の診断には、血液検査、尿検査、エコー検査、レントゲン検査など様々な検査を必要とします。この検査の目的には主に、” 慢性腎臓病(CKD)と診断 “すること、” 治療法を決める “ことの2つの目的があります。
以下では、それぞれについて簡潔に解説します。

1.血液検査
腎臓の働きを評価する基本的な検査です。
- □ BUN(尿素窒素)・クレアチニン:腎機能低下の指標です。腎臓の機能が1/4以下に低下すると上昇します。筋肉量や食事の影響で数値が変動しやすいです。
- □ SDMA:初期の腎機能低下をより早く捉えられるマーカーになり得ると報告されています。クレアチニンと違って筋肉量に左右されないため、より正確に腎機能低下を反映できることがあります。
- □ リン・電解質:治療方針の判断に重要
- □ FGF23:早期のリン排出低下の指標であり、腎不全の進行を予測することができます。

2.尿検査
- □ 尿比重:尿を濃縮する力の評価をします。
- □ 尿蛋白:腎臓からの蛋白漏出の有無を確認します。
- □ 尿沈渣検査:炎症や結晶、細菌を顕微鏡で探します。

3.血圧測定
慢性腎臓病では高血圧を合併することが多く、腎臓や目、心臓への影響を防ぐためにも重要な検査です。

4.画像検査(レントゲン・超音波検査)
- □ 腎臓の大きさ・形・構造を確認します。
- □ 腫瘍、結石、先天的異常などの有無を評価します。
上記のような検査結果と臨床症状を基に慢性腎臓病(CKD)の病期ステージ分類を診断します。
IRIS(国際獣医腎臓病研究グループ)ステージ分類により、今後の治療の方針を検討します。


まとめ
慢性腎臓病について必要な検査および診断について解説しました。
腎臓病は一度なってしまうとずっと付き合っていかなければいけない病気です。そのため、いかに早期発見できるかが重要になってきます。早期発見のためには、家での体調の変化を良く見てもらうことや、定期的な検査がお勧めです。

検査のタイミング
- 7歳以上:年1~2回の定期検査がおすすめです
- 多飲多尿、食欲低下、体重減少、嘔吐などの症状がある場合は、年齢に関わらず早めの検査が必要です

早期発見のメリット
慢性腎臓病は完治が難しい病気ですが、早期に発見し適切な治療や食事管理を行うことで、進行を緩やかにし、生活の質を保つことができます。
当院では、わんちゃん・ねこちゃんの状態や年齢に合わせた検査と治療のご提案を行っています。気になる症状や検査についてのご相談は、お気軽にお問い合わせください。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
こちらのリンクよりそれぞれのページに移行できますので、ぜひご参考にして下さい。
▼ 慢性腎臓病とは⇨こちら
▼ よく見られる症状について⇨こちら
▼ 治療法について
※こちらのリンクは1週間ごとに更新しております。リンクがない場合は更新までお待ちください。

Q&A
Q. 慢性腎臓病は治りますか?
A. 完治することは出来ませんが、症状を遅らせることは可能です。
Q. 慢性腎臓病の子の食事はどうしたらいいですか?
A. 食事については腎臓病のステージによって、お勧めの種類が変わってきます。ある程度ステージが進行している場合には、蛋白質やリン、カルシウムなどの成分が調整されている療法食が推奨される場合があります。
Q. 早期発見のためにはどうしたらいいですか?
A. 多飲多尿、食欲不振、体重減少などの症状が出てきた場合には注意が必要です。
また、定期的な検診を実施することも早期発見に繋がります。
その他の記事
-
肝中央区域の腫瘍および胆嚢を一括切除した犬の一例
近年では、獣医療の発達とともに犬猫の長寿化が認められるようになり、腫瘍と診断される子も増えてきています。腫瘍の中でも肝臓腫瘍は稀であり、肝臓自体は”沈黙の臓器”とも呼ばれ…
4か月前 -
高悪性度消化器型リンパ腫を外科摘出後、抗がん剤を行なった猫
消化器型リンパ腫は猫のリンパ腫のうち最も多くの割合を占めるものであるのと同時に、猫の消化管において最も発生率の高い腫瘍としても知られています。 症例 猫 雑…
2年前
-
肥満細胞腫
肥満細胞腫は、犬の皮膚腫瘍のうち20%前後を占めるため、犬の腫瘍では遭遇することの多い疾患にあたります。主にしこりの付近のリンパ節、続いて肝臓、脾臓へ転移することも多いため…
4年前 -
猫の子宮蓄膿症は若い子でも発症する?原因と治療について。
「子宮蓄膿症」とは、避妊手術をしていない女の子の犬/猫ちゃんの子宮に細菌が感染し、膿が溜まってしまう病気です。 今回は猫の子宮蓄膿症について詳しく解説します。 …
2年前 -
犬の急性膵炎について解説 | 実は重症化すると命に関わる可能性のある恐ろしい病気です
”急にお腹を痛がりだした”、”ぐったりしてなにもご飯をたべない”などの症状が見られることはありませんか?このような症状が見られる場合は急性膵炎の可能性があります。 …
1週間前 -
紐状異物
紐状異物は危険な異物の一つで、特に猫に多く見られます。 消化管は食べ物を消化・吸収するために蠕動運動をしています。紐によって手繰り寄せられた消化管は、蠕動運動によって…
3年前 -
犬と猫の混合ワクチンについて | どれが家の子に合うの?
コロナの影響によって”ワクチン”という言葉をよく耳にするかと思います。わんちゃん、ねこちゃんと一緒にいると、はがきなどによって混合ワクチンのお知らせが届くと思います…
3年前 -
最新の論文から考える〜犬の避妊手術、いつやるの?〜
はじめに 犬の避妊手術の適期は、犬種や性別によって大きく異なります。一般的なガイドラインを全ての犬に適用することはできず、個々の犬の健康状態や生活状況を考慮した個別化…
10か月前 -
口腔内腫瘤に対して下顎部分切除を実施した犬の1症例
犬の口腔内腫瘍には悪性黒色腫、扁平上皮癌、線維肉腫など様々な種類の腫瘍が発生することが報告されています。この中でも、悪性黒色腫は悪性度の高い口腔内腫瘍の中で最も発生率の高…
3か月前 -
幽門狭窄の症例に対して内視鏡下でポリペクトミーを実施した犬の1例
ご飯を食べてから時間が経っているのに吐き戻すなんてことはありませんか? 嘔吐という症状はよく認められる症状のひとつなため、どんな疾患でも考えられるものになります。…
6か月前
