犬の甲状腺機能低下症について | 元気がないや皮膚症状は甲状腺機能低下症の初期症状かも? ~治療編~
こちらの記事では甲状腺機能低下症の治療について解説していきます。
正しく適切なホルモン補充療法とモニタリングが行われていれば予後良好なことが多いです。
甲状腺機能低下症の治療について気になっている場合はぜひ最後までお読みください。

治療法は?
基本的には内科治療によるものがほとんどです。
甲状腺機能低下症は甲状腺ホルモンの不足が原因となるため、甲状腺ホルモン製剤を補充すれば症状は改善しますが、一度なってしまうと完治は難しく、一生涯の投薬が必要となることが多いです。
標準的な治療を行った場合、顔面の粘液水腫や神経症状は約1カ月程で、脱毛は約4カ月程で回復します。そのため、この標準的な治療で良化しない場合は、甲状腺機能低下症の診断が誤っているか、併発疾患が存在しているのかが疑われます。その場合は再度診断の見直しが必要となります。
内科治療には”レボチロキシンナトリウム”や”リオチロニンナトリウム”というものが扱われます。当院では”レボチロキシンナトリウム”が成分になっているチロタブ、もしくはフォーサイロンという製品名で取り扱っています。

臨床症状に合わせて1日1-2回の投薬を行い、投薬開始から2-4週間で血中の甲状腺ホルモンの濃度をモニタリングします。血中濃度の目標値は3-5㎍/dLですが、臨床症状も併せて評価し最終的な投薬量を決定していく必要があります。

このように甲状腺機能低下症の症例では、時間はかかってしまいますが、ホルモンの補充療法によって臨床症状の回復が見込めます。一生涯の投薬が必要にはなりますが、適切な診断や治療が選択されれば、いつも通りの元気な生活を取り戻すことができます。
また、甲状腺機能低下症の症例では代謝が落ちているため、食事量にも気を遣う必要があります。
気になる症状がある時はぜひお気軽にご相談下さい。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
こちらのリンクよりそれぞれのページに移行できますので、ぜひご参考にして下さい。
その他の記事
-
犬の脾臓腫瘍
犬の脾臓腫瘍は中・高齢で好発し、1/3~1/2が悪性とされています。腫瘍破裂や出血により劇症を呈することもあれば、症状が認められない場合も少なくありません。今回紹介…
3年前 -
犬と猫の高カルシウム血症について
普段血中のカルシウム濃度は厳密に調整されていますが、恒常性が破綻してしまうと高カルシウム血症が生じてしまいます。軽度の高カルシウム血症の場合は無症状のことが多く、偶発的に見…
2年前
-
内視鏡 異物除去
内視鏡症例をご紹介いたします。 果物の種を飲み込んでしまったワンちゃんで内視鏡によって摘出を行いました。 異物、誤食の中で桃の種など果物の種は高確率に腸…
6年前 -
短頭種気道症候群
短頭種気道症候群とは多くが先天性で、パグやフレンチブルドッグなど短頭種に生じる疾患の総称です。外鼻腔狭窄、軟口蓋過長症、気管低形成を先天的に生じ、持続的な気道抵抗の増加によ…
2年前 -
副腎皮質機能低下症(アジソン病)について解説 | 最近いつもより元気や食欲がないは病気のサインかも?~治療編~
こちらの記事では副腎皮質機能低下症(アジソン病)の症例で必要な治療について解説していきます。 副腎皮質機能低下症(アジソン病)は、生涯にわたる投薬が必要になりますが…
5か月前 -
両側に胸腔ドレーンを設置し救命した膿胸の猫
救急診療時間内にきた膿胸の猫の一例を紹介いたします。 症例 雑種猫 1歳 避妊メス 数日前から元気がなく今日になって呼吸が苦しそうとのことで来院されました。…
2年前 -
膝蓋骨脱臼の整復
膝蓋骨脱臼は小型犬に多い整形疾患です。膝蓋骨が大腿骨の滑車溝から外れてしまうことで膝関節伸展機構が正常に機能せず、膝をうまく伸ばせない状態になってしまいます。典型的な臨床…
3年前 -
副腎皮質機能低下症(アジソン病)について解説 | 最近いつもより元気や食欲がないは病気のサインかも?
最近、” 少し元気がない " や " 食欲がいつもよりない " などの症状が見られることはありませんか? 副腎の病気には機能が下がってしまう、副腎皮質機能低下症(アジ…
6か月前 -
副腎腫瘍・副腎腺腫摘出
副腎腫瘍は当院で手術が可能な腫瘍です。この腫瘍はその特性上 ①腫瘍の分類 ②副腎皮質機能亢進症の有無 ③血管への浸潤や位置関係 …
2年前 -
肺高血圧症
今回の症例は『肺高血圧症(pulmonary hypertension: PH)』です。
肺高血圧症は肺動脈圧の上昇を主として、様々な疾患から2次的に生じることの多い…6年前
