犬の尿石症について ~症状や治療法について説明します~

尿石症とは?
尿石症とは、腎臓や尿管、膀胱、尿道などの尿路のいずれかの部位に結石ができる病気です。結石が存在する部位によって、腎結石、膀胱結石、尿管結石、尿道結石などと呼ばれます。尿路の炎症・頻尿・乏尿・閉塞などの徴候を引き起こす疾患です。さらに、そのまま放置すると、腎不全などの重篤な疾患につながる危険性があります。結石の大きさ、種類、臨床症状の有無などの条件で治療法が異なります。

☆その他泌尿器疾患についてはこちらをご参照ください。
結石の種類
結石には、ストルバイト結石、シュウ酸カルシウム結石、尿酸塩結石、シスチン結石などの種類があります。中でも下図のストルバイト結石とシュウ酸カルシウム結石が比較的多く認められます。


↑シュウ酸カルシウム結石
尿石症の原因
尿石症は、細菌感染、基礎疾患や併発疾患の存在、遺伝的素因、薬剤の影響、ストレス、食事などさまざまな原因で発症します。
・細菌性膀胱炎などの尿路感染症
犬の尿石症は膀胱炎などの感染に伴って生じることが多いです。特に、犬の尿路結石の多くを占めるストルバイト結石の生成には細菌が関与しているといわれています。
・基礎疾患や併発疾患
門脈体循環シャント、高カルシウム血症、尿路感染などにより結石生成が促進されます。
・遺伝的素因
尿酸塩結石やシスチン結石は特に好発犬種が知られています。

・食事
ミネラルを豊富に含む食事やおやつの過度な摂食は結石の生成を促進する可能性があります。
尿石症の症状
血尿、頻尿、排尿時に痛がる、陰部を舐めるなどの症状がみられます。また、結石が尿路に詰まると尿が排泄できなくなり、尿毒症や腎機能障害によって重篤な状態になる危険性もあります。
特徴
オスは尿道が狭くて長く、陰茎には陰茎骨という骨があり結石がつまる可能性があります。一方で、メスは尿道が太く短いため結石は詰まりにくいですが、尿路感染症にかかりやすいと言われています。

検査
・身体検査
・尿検査
・レントゲン検査
・超音波検査

↑膀胱結石の症例(超音波検査)
治療
尿石症の治療は大きく分けて食事療法、薬物療法、外科手術です。
・食事療法
尿石症用の療法食は結石を予防するために、マグネシウムを制限をしたり尿のpHを整える工夫が施されています。

・薬物療法
サプリメントの服用や、細菌感染による尿石症の場合は抗生剤を投与します。



・外科手術
内科的治療に反応が乏しいときは、外科手術で結石を取り除く場合があります。
尿管結石摘出術についてはこちらをご参照ください:尿管結石摘出術
尿石症を予防するために日ごろからできることは?
犬の尿石症を予防するには、生活習慣や食事、飲水量などに気を付けることが大切です。
・適度な運動と食事
栄養バランスの整った食事を与えましょう。肥満は尿石症を引き起こす原因の一つになります。日頃から適度な運動と食事管理を心がけましょう。

・飲水量を増やす
ウェットフードを取り入れたり水飲み場の数を増やしたり自動給水機などの利用もおすすめです。トイレは常に清潔にしましょう。

まとめ
愛犬にいつもと変わった様子はありませんか?
尿石症には、生活習慣や食生活なども深くかかわっており、日頃の予防が重要です。特に飲水量や排尿回数、尿の色などの変化も気を付けて観察しましょう。
定期的に健康診断を受けることや、気になる症状があればすぐに受診することをおすすめします。
その他の記事
-
尾状葉乳頭突起の肝葉切除(肝細胞癌)
犬の肝臓の腫瘍性疾患において一番多く発生する腫瘍は肝細胞癌です。日常の臨床的にもよく遭遇する腫瘍で、発生の形態によって孤立性、多発性、び慢性に分けられます。経過としては徐々…
1年前 -
犬の甲状腺機能低下症について | 元気がないや皮膚症状は甲状腺機能低下症の初期症状かも?
" 最近元気がない " や " 皮膚症状が出てくるようになった " といった症状が見られることはありませんか?もしかしたら、甲状腺機能低下症の初期症状かもしれません。 …
1か月前
-
肝生検
健康診断で『肝臓の数値が高いですね』と言われたことや過去に『黄疸があり大変厳しい病気です』と動物病院で診断されたことはありませんか? 猫ちゃんの肝臓の病気は栄養性、感…
6年前 -
べトスキャン イマジストが導入されました!
この度、国内初のAI技術を応用した検査と専門医による診断サービスが可能な"べトスキャン イマジスト"という検査機器が当院に導入されました! …
1年前 -
セカンドオピニオン
セカンドオピニオンとは、現在受けている治療や診断に関して第二の意見を求めることを言います。 当院ではセカンドオピニオンで来られた患者さまに対してまず丁寧にお話を聞くこ…
3年前 -
猫の子宮蓄膿症は若い子でも発症する?原因と治療について。
「子宮蓄膿症」とは、避妊手術をしていない女の子の犬/猫ちゃんの子宮に細菌が感染し、膿が溜まってしまう病気です。 今回は猫の子宮蓄膿症について詳しく解説します。 …
1年前 -
胆泥症・胆嚢粘液嚢腫
胆嚢とは、肝臓で作られた胆汁の貯留を行う臓器で、方形葉と内側右葉に埋まるように位置しています。胆嚢から発生する疾患には胆石、胆泥、胆嚢粘液嚢腫および胆嚢炎などがあります。…
3年前 -
犬の甲状腺機能低下症について | 元気がないや皮膚症状は甲状腺機能低下症の初期症状かも? ~症状編~
こちらの記事では甲状腺機能低下症の症例で認められやすい症状について解説していきます。 甲状腺ホルモンは全身的に作用するため、症状も様々なものが認められます。 …
1か月前 -
猫の尿管結石の症例
猫の尿管結石は比較的若齢でも発生する泌尿器系の疾患です。腎臓と膀胱をつなぐ尿管に結石が閉塞することで、腎臓で産生された尿が膀胱に流れず、腎臓に貯まってしまいます(水腎症)…
3年前 -
ノミ・ダニ予防
ノミやダニと聞くと、痒いというイメージを持たれる方が多いと思います。しかし、ノミやダニは痒みを引き起こすだけでなく、わんちゃんや猫ちゃん、さらには人にも様々な病気を引き起こ…
2年前
