ご予約はこちら
受診ご希望、獣医師の方 045-932-5151
企業、法人の方 090-6770-5244
2019年11月26日

炎症性腸疾患<IBD>、慢性腸症

炎症性腸疾患<inflammation Bowel disease:IBD>
慢性腸症<chronic entropathy:CE>

小腸または大腸の粘膜固有層における炎症細胞浸潤によって特徴づけられる原因不明の慢性腸障害を特徴とする症候群であり、診断は基本的に除外診断と消化管の内視鏡および全層生検となります。(MPアグロジャーナルNo.12 p2 2013.01 MPアグロ株式会社 より一部引用)
具体的には以下の4つを満たす場合に診断とします

①慢性の消化器徴候が3週間以上続くこと
②病理組織学的検査により胃腸粘膜の炎症性変化が明らかであること
③胃腸に炎症を起こす原因や慢性消化器徴候を起こす他疾患が認められないこと
④対症療法に完全には反応しないこと
(GO-VET03 p4 2018.6 学窓社 より抜粋)
また、慢性腸症と炎症性腸疾患の厳密な違いに関しては2019年現在でも意見が分かれております。

症例
ミニチュアダックスフンド 5歳 避妊メス
主訴:下痢と腹囲膨満
元気はあるがお腹がポンポンに膨れている、ステロイドを使用すると一時的によくなるが、やめると再発するとのことで転院されてきました。血液検査にてアルブミンの著しい低値(1.6 g/dL)が認められ、エコー検査では腹水と消化管の炎症所見が認められました。そこで、確定診断のため内視鏡下腸生検と全層生検を行いました。

*写真はエコー検査および内視鏡にて撮影した画像です。

病理組織学的検査は
『リンパ管拡張を伴うリンパ球形質細胞性腸炎』
『肉芽腫性リンパ管炎』
との診断でした。

急性期の治療には高容量のステロイドと低アレルギー食を用いにて状態を安定させ、慢性期ではステロイドの容量を少しづつ減量していきました。今ではごく低用量のステロイド治療で治療中です。もちろん元気いっぱいの姿を見せてくれています。

今回の症例では以前からステロイドの投与が行われていました。同様にステロイドに反応性のあるリンパ腫とIBDを鑑別することで長期的な維持を可能にするために、診断を確定させる必要がありました。
当院では診断がつかないために再発を繰り返す消化器症状の子に対して、血液検査はもちろんレントゲン検査や腹部超音波検査、さらには内視鏡検査を行うことで診断をし、より積極的な診断・治療を行う事で状態長期安定化を図っております。

その他の記事

  • 紐状異物

    紐状異物は危険な異物の一つで、特に猫に多く見られます。 消化管は食べ物を消化・吸収するために蠕動運動をしています。紐によって手繰り寄せられた消化管は、蠕動運動によって…

    3年前
  • 肝生検

    健康診断で『肝臓の数値が高いですね』と言われたことや過去に『黄疸があり大変厳しい病気です』と動物病院で診断されたことはありませんか? 猫ちゃんの肝臓の病気は栄養性、感…

    6年前
  • 2022年の健康診断のまとめ

    季節が過ぎるのは早いもので、あっという間に新年度を迎えました。 今年もワンちゃんのフィラリアの検査・予防が始まる時期になりました。 当院ではフィラリアの予防を始…

    4年前
  • 新しい「がん」の血液検査:血中ヌクレオソームの測定

       獣医療の発展に伴いペットの長寿化は進んでいますが、その中でも死因の上位にあげられるのが悪性腫瘍、いわゆる「がん」です。特にワンちゃんの死因では「がん」が第1位に…

    2年前
  • 猫の難病、猫伝染性腹膜炎(FIP)について解説

    猫伝染性腹膜炎(FIP)は、猫、特に子猫にとって命に関わる程の恐ろしい病気になります。猫伝染性腹膜炎はかつては”治らない病気”とされ、一度発症すると有効な治療法がなく、ほ…

    3か月前
  • 副腎皮質機能低下症(アジソン病)について解説 | 最近いつもより元気や食欲がないは病気のサインかも?~治療編~

    こちらの記事では副腎皮質機能低下症(アジソン病)の症例で必要な治療について解説していきます。 副腎皮質機能低下症(アジソン病)は、生涯にわたる投薬が必要になりますが…

    11か月前
  • べトスキャン イマジストが導入されました!

    この度、国内初のAI技術を応用した検査と専門医による診断サービスが可能な"べトスキャン イマジスト"という検査機器が当院に導入されました!     …

    2年前
  • 犬と猫の慢性腎臓病(CKD)について解説 | 多尿や体重減少は慢性腎臓病の初期症状かもしれません! ~治療編~

    こちらの記事では慢性腎臓病(CKD)の治療法について解説していきます。 今までの記事でも解説した通り、慢性腎臓病の治療法はステージによって治療も異なります。 …

    9か月前
  • 鼻梁にできた多小葉性骨腫瘍

    多小葉性骨腫瘍は犬の頭蓋骨にできることの多い骨の腫瘍です。局所で拡大し脳を圧迫することで神経症状を示すことも少なくありません。今回は鼻梁部(鼻と頭蓋骨の間)にできた多小葉性…

    3年前
  • 消化管穿孔

    消化管穿孔は外傷、異物、腫瘍など様々理由で生じます。今回は消化管の穿孔により細菌性腹膜炎を生じた猫を紹介いたします。 雑種猫 2歳9カ月 去勢雄 数日前から食欲…

    3年前